07年10月24日  小さい仏さま大きい仏さま 
(小野市 橋の地蔵さん〜浄土寺 )

小野市高田町の田圃の畦道に居られる「橋の地蔵さん」。
周りはのどかな風景が広がっていました。
日差しが暖かく気持ち良かった。

今回は短時間のご近所見仏

今日は長期連休の最終日。家でゴロゴロしていてもいいのですが、「お寺巡り」の血が騒ぎ出し、やっぱり行ってしまった。
半日くらいで行ける距離で色々考えた結果、車を小野市に向かって走らせる私。


小さいほとけさま


ある郷土誌に気になるお地蔵さんの記事が書いてありました。小野市の「いでんと」と呼ばれる高田町に居られる「橋の地蔵さん」。

こんな伝説が…
その昔、働き者の一人暮らしのおばあさんがいた。おばあさんには子供がなく、唯一の楽しみはお地蔵さんにお参りをし、話をすること。そのうちおばあさんは年をとり、歩くのもままならなくった。
ある日おばあさんは、お地蔵さんにお参りをし帰ろうとすると腰が急に痛くなり、来た時に渡った溝が渡れなくなる。そのときお地蔵さんが溝の上にうつ伏せになり、「さあ、どうぞ。わたしも長いこと立ったままなので腰が痛かったところ。ついでにしっかり腰を踏んでください。」おばあさんは「もったいないもったいない。」といいながらそっと腰を踏んで渡り、「さぞや痛かったことでしょう」と腰をさすったら、おばあさんの腰がすっとのびて痛みがなくなったそうな。
次の日おばあさんがお礼参りすると、お地蔵さんは橋になったまま、その後も二度と立つことはなかったそうな。
その後おばあさんは出会った人たちにそのご利益を語り続けたという…

そのお地蔵さんが小野市の高田町に今でも祀られているということで、早速逢いに行きました。郷土誌を助手席に置いてそのあたりを車でウロウロする。不審者に間違われないかと心配だったので、すぐに農作業していたオバサンに詳しい場所を聞いてやってきました。

記事に書いていたとおり、田圃の畦道にそのお地蔵さんはひっそりと居られました。
伝説通りうつ伏せ状態になったままなので、お地蔵さんのお顔は見えません。お供えのお花はまだ新しく、換えたばかりみたいでした。私はお賽銭を置いてお参りしました。
すぐ脇を通る県道は車の数が少なく、小鳥のさえずりだけがBGM。
今にも畦道からひょっこり伝説のおばあさんが出てきそうな雰囲気。

このお地蔵さんをさすると特に腰や足の病気に効くそうで、私は足腰に気になる部分はないのですが、さすってみることにしました。
石なのになぜか冷たい感じは一切しない。つるつる手が滑るくらいなめらかで、温かい日差しで温かみすら感じます。
溝に降りてお地蔵さんのお顔を見ようとしますが、中々見れない。暗いのでかろうじてお顔の輪郭がかすかに見えるのみ。

このお地蔵さんはこれからも季節の花に飾られて、地元の人たちに大切にされていくことでしょう。

「お地蔵さん、撮影する時にフラッシュを使ってさぞや眩しかったでしょう、ごめんね」ってもう一度拝んでお地蔵さんと別れることにしました。

次に行くのは「大きいほとけさま」のおられる「浄土寺」です。


大きいほとけさま

車を走らせて5分位で到着した浄土寺。
国宝の「浄土堂」と、同じく国宝の快慶作「阿弥陀三尊」が有名です。
早速に阿弥陀三尊が居られる浄土堂に入ります。

私はもう4、5回来ていますが、来るたびに阿弥陀三尊の包み込むような大きさと、暖かさにはヤラレます。
三尊の蓮華座の下には「飛雲」。阿弥陀仏の乗る雲を表しており、この雲に乗って西方浄土から「さあ、お迎えに来ました」って感じで、見ている方にググット迫ってきます。本当にこっちに向かってくるように見えるところが凄い!
「動いてこっちに向かってくるよこの仏像!」
そう心の中で叫んでしまいそう…
そして本尊の「阿弥陀如来」が5.3m、脇侍の「勢至菩薩」・「観音菩薩」が3.7m。まさに見る者を包み込むような大きさです。
そしてお三人とも、優しい眼差しでこちらを見ています。
黄金に輝く三尊からは、何か熱が発せられるのか?と思うほど見ていると何故か体暖かくなってきます…

丁度三尊の後ろ、西側の透かし蔀戸が開けてあって夕方になれば夕日が差し込んでそれが浄土堂の床や天井に反射して堂内全体が「極楽浄土」になるといわれていますが、時間的に夕方まで浄土寺には居られないので、今回も諦めて浄土堂を後にしました。
その後しばらく境内のベンチでボーっとしていました。

日差しが暖かく、もうしばらくこのまま居たいのですが、時間が迫ってきたのでそろそろ帰ることにしますか。

短い間だったけど、チョットだけほっこり暖かくなったご近所見仏でした。


橋の地蔵さん。
地元の人が換えたのか?お花はまだ新しかった。

この真ん中の石がお地蔵さんの背中です。
さするとほのかに温かかった。

溝に降りて下から撮影。
このお地蔵さんは盗まれたことがあって、盗人の夢の中で「『いでんと』に帰りたい」と言ったので恐れをなした盗人に元の場所に返されたという伝説もあるそうな…
「お地蔵さん、フラッシュ眩しくてゴメンね。」

国王「浄土堂」。
この中に「大きいほとけさま」がいます。

「鐘楼」。
今回は珍しく開放されていたので、最後にチョットだけ撞かせてもらいました。

お地蔵さんに供えられていた花。
コスモスや野菊など、季節の花が美しい。

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