豆知識



英国の通貨について


「記帳コーナ」でPocketWatchさんが「£2硬貨が発行されてたらしい」という情報をアップしてくれたのをキッカケにして、Feさんからも「イギリス小説に出てくる複雑な通貨について知りたい」という質問もあって、それ以来英国の通貨に関する情報が集まったので、整理しました。

1.十進法移行(1971年2月15日)後の通貨
現在の英国の通貨単位はポンド(£)で、補助通貨単位はペンス(p)です。
£1=100p となります。
ポンド(Pound)の正式名称はポンド・スターリング(Pound Sterling)といいます。
紙幣は、£50、£20、£10、£5の4種類です。最近£20紙幣が新しくなりました。(99年7月初旬に英国に旅行されたRitzyさんからの情報です)
スコットランドでは、£1紙幣が流通しています。

硬貨は、£2、£1、50p、20p、10p、5p、2p、1p の8種類です。
£2硬貨は1998年の6月に導入されました。まだ流通量は少ないらしく、今でもめったにお目にかかれません。

新しい£20札をご覧になりたい方は、次のBank of England のサイトへどうぞ。マンチェスター在住のひつじさんが教えてくれました。

http://www.bankofengland.co.uk/banknotes/newtwenty/design.htm

このサイトによると、旧£20札のウラ側は科学者のファラデーの肖像でしたが、新£20札ではエルガーに代わっています。
エルガー(Edward William Elgar:1857-1934)は英国の(数少ない)世界的に有名な音楽家で、管弦楽曲「エニグマ変奏曲」(Enigma Variations)で名声を得ました。日本では「威風堂々」や「愛の挨拶」などで親しまれています。

2.十進法移行前の通貨
十進法に移行する前は、1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンス(1ポンド=240ペンス)でした。11世紀のノルマン時代から、この通貨単位が使われていました。(ポンド自体がが使われ始めたのはもっと古く、8世紀頃でそのころポンドは銀貨だったそうです。)
また、シリングの他にクラウン=1/4ポンド(5シリング=60ペンス)、ギニー=21シリングが併用されていました。
1ポンドは紙幣で、硬貨はハーフクラウン(2シリング6ペンス=30ペンス)、2シリング、1シリング、6ペンス、トレペンス(3ペンス)、ペニー、ヘイプニィ(0.5ペニー)があったそうです。

ギニー=21シリングという中途半端な通貨については、『イギリスの生活と文化事典』(研究社)に、次のような解説があるという情報を、ぱぐさんが教えてくれました。
ギニーはチャールズ2世の時代の1663年、西アフリカ・ギニアGuinea海岸から 持ち帰った金(きん)で鋳造した金貨の名前で、1717年以来21シリングの価値があると定められている。
金貨そのものは消失したのに単位だけは10進法への転移直前まで残っていた。職業柄チップを要求できない立場にある医者や弁護士への謝礼、家賃、商品の値段などにこの単位が使われた。
ギニー使用のうま味は、たとえば199ギニーといえば、実際は199ポンド199シリング、つまり208ポンド19シリング、ほとんど209ポンドを支払わねばならないのに、まるで200ポンド以下であるような印象を支払う側に与えてしまう心理的効果であった。

3.ポンドが使われている他の国々
自国通貨をポンドと連動させている国々をスターリングブロックと言います。カナダを除く旧英連邦諸国がこれに属していましたが、十進法に移行した1972年以降はUKとアイルランドだけになりました。
現在シリングが使われているのは、ウガンダ、タンザニア等(ひつじさんによればケニアも)。シリングはかつて、オーストラリアでも通貨単位でしたが、1966年にオーストラリアが十進法に移行してからは使われなくなりました。