豆知識



ロンドン橋が落ちたのはいつ


「ロンドン橋落ちた・・」というのは私の知る唯一の英国童謡ですが、いったいこの童謡の由来となった「ロンドン橋流失事件」は何時のことなのだろうという疑問がありました。
答えがあったのは、出口保夫著「私の英国読本」でした。やっぱり出口氏は大したもんだ。

ロンドン橋はテムズ川にかかる最古の橋で、古代「アングロ・サクソン年代記」にすでに記述があるそうです。
中世以前のこの橋は木造で、何度も流失して架け替えられたりしたと思われます。本格的な石造の橋は1176に着工して1209年に完成しています。1666年のロンドンの大火で橋の上にあった一部の家を焼失しましたが、橋自体は流されていません。その後、1831年と1968年に架け替えられて現在に至っていますが、1209年以降は一度も流失していないということです。

ということは、1176年の何年か前あたりに「ロンドン橋流失事件」があったと考えられます。
この、「ロンドン橋」の唄はかなり長い唄で、八歌節のものと十二歌節のものがあります。私たちに馴染みがあるのは十二歌節のものですので、八歌節のものを紹介すると

ロンドン橋が落ちた、踊って越えよ、レディ・リイ。
ロンドン橋が落ちた、伊達なレディと、えんやらさ。

こんだ、どうして作ろうぞ、踊って越えよ、レディ・リイ。
こんだ、どうして作ろうぞ、伊達なレディと、えんやらさ。

金や銀では盗まれる。踊って越えよ、レディ・リイ。
金や銀では盗まれる。伊達なレディと、えんやらさ。

鉄と鋼でまた作れ、踊って越えよ、レディ・リイ。
鉄と鋼でまた作れ、伊達なレディと、えんやらさ。

鉄や鋼は折れまがる、踊って越えよ、レディ・リイ。
鉄や鋼は折れまがる、伊達なレディと、えんやらさ。

木と泥土でやれ作れ、踊って越えよ、レディ・リイ。
木と泥土でやれ作れ、伊達なレディと、えんやらさ。

木と泥土は流される、踊って越えよ、レディ・リイ。
木と泥土は流される、伊達なレディと、えんやらさ。

丈夫な石でやれ作れ、踊って越えよ、レディ・リイ。
フザァ!それなら百年もち、伊達なレディと、えんやらさ。
(竹友藻風訳)

この唄から、ロンドン橋が落ちたので、石橋に作り変えたということが推測できます。

それにしても、レディ・リイというのはどんな人なんだろうと疑問でしたが、マザーグースに詳しいじゅんこさんが「ロンドン橋の東側にあるリー川を意味していて、リーという女性がいたわけではない」と教えてくれました。