豆知識



マザーグースの唄ってなに


マザー・グース(ガチョウの母さん)っていうのは、クマのプーさんやピータ・ラビットのようなキャラクターだと思っていましたが、違っていたようです。(全く、このコーナは自分の無知をさらすようなもんだな。私と同じように勘違いしていた人がいると救われるんですが・・・)

平野敬一著「マザー・グースの唄」(中公新書)によるとマザー・グースの唄とは英国伝承童謡の総称なんだそうです。
では、なぜ英国伝承童謡を「マザー・グースの唄」というのでしょうか。平野氏によると、

日本に最初に紹介したのは北原白秋で、その由来について白秋の訳書「まさあ・ぐうす」のはしがきに次ぎのように書いてあるそうです。

「・・・(略)・・・そのグウスというお婆さんは今から二百年ばかり前に生まれた方でした。そのお婆さんに一人の小っちゃな孫息子がありました。お婆さんはその孫息子がかわゆくてならなかったものですから、その子を喜ばせるためにその子の喜ぶような、そうしてその子の罪のない美しいお夢をまだまだかわいい綺麗な深みのあるものにしてやりたいのでした。それでいろいろな面白いお唄をしぜんと自分でつくり出すようになりました。
・・・(略)・・・そのお婆さんの養子にトオマス・フリイトという人がありました。この人は印刷屋さんでした。で、そのお母さんが自分の息子のために歌って下すった、そうしたありがたいお唄を刷って、自分の息子ばかりでなく、外の沢山の子供達を喜ばしてやりたいと思ったのでした。それでこのマザア・グウスの童謡の御本が初めて刷られて、広く世間に読まれるようになりました。それは西洋暦千七百十九年という年で、時のイギリスの王様はジョウジ一世と申される御方でした。・・・・」

白秋はアメリカのエリザベス・グースという人の童謡集であるという説に従って、こういうはしがきを書いたと思われますが、これの説は誤りであったという事が後で分かったそうです。

本当のマザー・グースの起源は、17世紀のフランスの作家ペローの童話集「昔の物語」があり、その副題が「鵞鳥(ガチョウ)おばさんのコント」となっていました。これを1729年に「マザー・グースの物語」として英訳し、これが大ヒットし「マザー・グース」という言葉がかなりポピュラーになりました。そういう背景があり、ロンドンのジョン・ニューベリーが自分が編纂した童謡集に「マザー・グースのメロディー」というタイトルをつけて1765年頃に出版したことから英国童謡の総称として呼称されるようになったということです。

ただし、「マザー・グースの唄」と呼ばれるようになったのが18世紀ということで、英国童謡の起源は遠くケルト人の時代にまで遡るようです。

私が知っていたのは「ロンドン橋落ちた」くらいでした。