「誰か教えて!」の回答集

ジェームス1世は何故イングランド王になったか教えて下さい (99/09/22)
ジェームズ1世がスコットランドから来て、イギリスの国王になったのに、その後、スコットランドがイングランドに併合されたのはなぜか。
nobuさんの質問)

モモジの回答 (99/09/22)
「スコットランドがイングランドに併合された」というのは、ちょっと正確ではないかもしれませんね。1707年にイングランド王国とスコットランド王国が一緒になって(合同して)大ブリテン王国となったので、形式的には併合ではなかったと思いますよ。スコットランド人にそんな事を言うと、顔を真っ赤にして怒るかも (^^)
しかし、実質的にはnobu さんのおっしゃる通り、ジェームス6世が即位した1603年に吸収合併されたも同じです。ご質問の内容は、ジェームズ1世はイングランド王にしてスコットランド王だったので、スコットランドを政治の中心にしてもよかったのではないか、という事かと思います。これは私も不思議だなぁと兼ねがね思ってたんですよ!
少し歴史を遡ると、ジェームス1世の母親である、スコットランド女王 メアリー・スチュアートはイングランド王ヘンリー8世の正統な王位継承者でした。エリザベス1世の次という順位です。 エリザベス1世にはご存知のように子供がいなかったし、メアリー・スチュアートはエリザベスに処刑されましたから、スコットランド王ジェームス6世がイングランドの王(ジェームス1世)として即位しました。 ここで不思議なのは、母の仇であるイングランドからの王位継承の依頼を、何故ジェームス6世が受けたかという事です。全く理解に苦しみますね。
小林章夫著「イギリス王室物語」(講談社現代新書)に、その理由について解説があります。その要旨は次のとおりです。
エリザベスが崩御した1603年の3月24日、ロンドンから特使を乗せた馬車がエジンバラに向かいます。馬車は夜昼なく3日3晩をかけてエジンバラに到着します。「王位継承」の決定を知らされたスコットランド王ジェームス6世は、大喜びでこれを受けたそうです。その喜び様は並大抵ではなく、わずか9日後にはロンドンに出発し、そして二度とエジンバラには帰ってきませんでした。つまり、ジェームス6世はスコットランドを捨てた訳です。
その理由は推測するしかありませんが、当時イングランドとスコットランドは経済的に大変大きな差がありました。人口を見ても、イングランド450万人、スコットランド80万人と5倍以上の差があります。北の貧しい小国の王が豊かな大国の王に迎えられる事を喜んだのは当然だったのかもしれませんね。
ジェームスは「自分は40年間、荒野と不毛な土地をさまよい続けた貧しい男であり、今やっと約束の地(イングランド)にたどり着いた」と言っています。


nobuさんの質問 (99/09/24)
また次の疑問が出てきたのですが・・・ ジェームズ6世がスコットランドを離れた後、スコットランドはどうなったのでしょうか。 王様がいなくなって、困ったことなど起きなかったのでしょうか?

モモジの回答 (99/09/24)
そうでしょう。その後、スコットランドがどうなったかは気になりますよね。
結論を言うと、国王不在のスコットランドは、これまでになく平和な時代が続いたそうです。それまで、スコットランドでは、暗殺や戦争で国が乱れていましたから、裏切られた国王によってもたらされた平和には複雑な思いがあったに違いありません。 ところが、イングランドはというと、それからピューリタン革命や王制復古などが起こる、血なまぐさい時代になります。なんとも皮肉なことですね。