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『X−MEN:フューチャー&パスト』
【感想】 ★★★☆ H26.11.8

 「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」でキャストもリフレッシュされ、次はどんなストーリーで見せてくれるのかと思っていたら、なんと最新作『X-MEN:フューチャー&パスト』は前3部作の懐かしいメンバーとの、オールスター豪華競演とは、いろいろやってくれる。ウルヴァリンのスピンオフもいいが、やっぱりX-MENのメンバーが勢ぞろいしたところを、また観たいよなあという熱いファンの声に、応えてくれたんだろうなあ。

 時は2023年、人類は対ミュータント兵器として開発されたバイオメカニカル・ロボット“センチネル”の、攻撃目標がミュータントを生み出す人間にまでむけられたことで、絶滅の危機を迎えていた。ミュータントの能力に応じて、対応し攻撃してくるセンチネルの前では、X-MENたちの攻撃さえも無力だった。万策尽きたプロフェッサーXとマグニートは、センチネル開発のきっかけとなった1973年へ、最後の望みとしてウルヴァリンを送り込む・・・。

 ロボットによって人類が滅亡しようとしている未来。それを食い止めるために過去へ戦士を送り込む。そう、ほぼ「ターミネーター」である。オープニングも全く同じで、廃墟の中ロボットと戦っているシーンで始まるが、そこはX-MEN、前シリーズのストームやアイスマン達懐かしい顔ぶれに再会できただけで、気分は最高潮へ。さらに新たに加わった空間に歪みを作り縦横無人に飛び回るブリンクにより、スピーディーに繰り広げられる斬新な戦闘シーンは、目が釘付けである。そしてウルヴァリンが過去に戻ると、今度はファースト・ジェネレーション組のメンバーが待ってるという、もうファンにはたまらないシチュエーションが展開される。ただこの豪華共演も、思いのほかシンクロせず、拍子抜けするほどウルヴァリンの見せ場もないという有様だったが、プロフェッサーXとマグニートの友情が、実はづっと続いてたという、この泣かせるエピソードだけで満足だ。そしてこの新旧入り混じった複雑な時空の流れを、どんな風にまとめるのか、後半のマグニートの暴走ぶりから不安になったが、さすがブライアン・シンガー監督、驚きの手際できれいにまとめてみせる。おまけにファンの心にずっと引っかかっていた、あの忌まわしい過去まで、ミラクルで解消してくれるというサービス付き。もはや何でもありだが、ラストはいい気分で迎えられた。ただねえ、後半で訪れるX-MENたちの見るに堪えない残酷なシーンは、悪夢でありこれは観たくなかったなあ。気持ちの萎え方が半端なかったよ。

相容れない人類とミュータント。現代社会にも常に立ちはだかる、平和を拒絶する力。たびたび現れるアメリカ国旗が目に余るが、ブライアン・シンガーの、それでもあきらめない“希望”という名の願いは、観る者の心を熱くする。

 ▼公式サイト:X-MEN フューチャー&パスト