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『ウォッチメン』
【感想】 ★★☆ H21.10.9

ウォッチメン 「ダークナイト」と並ぶダークヒーローものとして話題となった『ウォッチメン』を観る。予告編の雰囲気は暗く、明らかに今までのコミック・ヒーローと違う空気を醸し出していた。さらにこのジャンルでは珍しいR-15指定だったり、濃厚なラブシーンが入ってたりと、早くから話題がてんこ盛りだったが、どうにも良くないレビューをたくさん目にした。まあたぶん面白くないんだろうなあ、なんて見てたら意外に良かった、何てこともたまにあるから(^^;)

 時代は1985年、世界はアメリカとソ連の対立によって、人類は核戦争が始まるギリギリの瀬戸際に立たされていた。そんな時一人の元ヒーローが、何者かにより殺されてしまう。なぜウォッチメンが狙われたのか、“顔のない男”ロールシャッハは、事件の謎を追うが・・・。

 まず原作がアメ・コミということで、コミックヒーローらしく冒頭で戦うシーンがあるんだけど、コミック・ヒーローものとしては異色の謎に包まれたオープニングということで、かなり期待が膨らむ。ただそれ以降カッコいいアクションシーンを期待していると、いつまでたってもそんなシーンは出てこず、軽く淡い期待はしぼんでいき、すぐに睡魔との闘いとなったため、これはちょっとやばいんじゃないかと1時間くらいで休憩に入ることに。なんとこの映画163分もあるんだよね。気を取り直して再開させると、やっとミュータントのような青く光る男が出てきたり、派手なコスチュームに身を包んだ女性ヒーローやバットマンもどきのスーツを着たヒーローが現われ、最初に元ヒーローを殺した犯人探しなんかのサスペンスも加わりちょっと面白くなる。
ただ期待してたアクションシーンがどれもも地味というか、これ程見るものがないアクションシーンも珍しいってくらい迫力がなく、オリジナリティーもない。複雑なストーリーに、ラストで突きつけられる人類への辛辣なメッセージも含め、全体的にアダルトな仕上がりになっているが、まあ面白くない(笑)
また予告編で驚愕のビジュアルワールドと謳っていたが、紅一点のシルク・スペクターのコスチュームの黄色と黒のコントラストが鮮やかで美しかった以外、ただただ夜のシーンばかりで暗かった。

致命的なところはたくさん出てくるヒーロー達の誰一人にも惹かれるものがないということ。いやいや、どんな映画にもどこかいいところがあるはず。そうそう、マスクをかぶったロールシャッハというヒーローが脱獄する時、ギャングのボス?をトイレで始末するシーンが良かった。あのトイレの扉が揺れてその隙間の瞬間だけチラチラと覗くシーンのもどかしいこと。あと実業家に転進したヒーローが、暗殺者の銃撃をかわして殴り倒すシーンの切れのいい動きも良かったな。

見終わった後の後味の悪さの中で思ったことは、ヒーローのコスチュームのカッコいいと、仮装大会並みのチープさは紙一重なんだなあということ。ウォッチメンが一同にそろって記念撮影をした時の、あのシーンに象徴されるように、とにかくこれはちょっと違うんじゃないかっていう違和感に、最後までこのダークな世界に乗り切れなかった。

公式サイト:映画『ウォッチメン』オフィシャル・サイト