サブリナの休日トップページドラマ1

『ヴァージン・スーサイズ』
【感想】 ★★★ H17.6.4

ヴァージン・スーサイズ 『ロスト・イン・トランスレーション』繋がりで、ソフィア・コッポラの初監督作品『ヴァージン・スーサイズ』を観た。
観る前から美人(?)姉妹5人が全員自殺するというとんでもないストーリーを知っていたので、すっごい暗い映画を想像してたんだけど、その予想は見事に裏切られた。

 ストーリーは少女たちの近所に住んできた少年たちが大人になり、当時少女たちに対して抱いた憧れみたいなものを振り返るというもの。
「どうして彼女たちは自殺したのか?」
たぶんみんなが気になっていたこの自殺の理由についての話はほとんど触れらない。それどころかこの映画はそんな自殺のことなどあまり意味がないといわんばかりに、最初から最後まで懐かしい音楽と明るい色彩で彩られている。


 思春期の少女たちが持つ透明感溢れる美しさと今にも消えてしまいそうな儚さ。そして何をしでかすかわからない危うさ。この作品はその思春期の象徴を自殺ということで単に表現したんだと思う。カメラは少女たちのそんな思春期の瞬間瞬間の美しさを淡々と映し出していく。もう二度とない輝きをカメラに収めようとするように。5人姉妹の中でも、やはりキルスティン・ダンストの存在感が抜群であり、あまり好きな顔ではないんだけど、その瞬間の輝きを確かに彼女は放ってた。そして偶然か故意なのか取り留めのない展開と演出に、少女たちの儚さとの相乗効果で、映画自体が不思議なオーラを発している。んん〜、おそるべしソフィア!(笑)

ソフィア・コッポラがメイキングで「人生には長続きしない完璧な瞬間があり、いつも思い出だけが残るのよ」と言う。
だからこそそんな瞬間をもっと大切に、そして人生をしっかりと生きて欲しい。自殺という題材を取り上げながら、ソフィア・コッポラが今の若者たちにそんなメッセージを贈ってるようにも思えた。


最後に同じくメイキングで姉妹たちの母親役がキャスリーン・ターナーだったと知り、そのあまりの変わりようにしばし呆然としてしまったことを付け加えておく・・・。