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『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』
【感想】 ★★★ H18.2.18
レモニー・スニケットの世にも不幸な物語 世界中で3000万部を売り上げたレモニー・スニケット原作の児童書「世にも不幸なできごと」を、ジム・キャリー主演で映画化した『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』を観る。本作は2005年のアカデミー賞最優秀メイクアップ賞を受賞している。ジム・キャリーの変装によるベストセラー児童書の映画化ということで、「グリンチ」がだめだった私はなかなか観る気にならなかったが、いろんなサイトで思いがけず高評価されてるので観ることに。

 ボードレール家の発明家の長女ヴァイオレット、読書家の長男クラウス、何でも噛むのが大好きな末っ子のサニーの三姉弟妹に、ある日突然不幸が降りかかる。自宅の大きな屋敷が火事で全焼し、両親も亡くなってしまう。身寄りのなくなった三姉弟妹は、銀行家のミスター・ポーに連れられ、遠い親戚にあたるといわれるオラフ伯爵の下へ向かう。しかし三姉弟妹の後見人となり、その残された莫大な財産を横取りしようと企むオラフ伯爵により、三姉弟妹に次から次へと不幸が降りかかっていく・・・。

 まず徹底的に作りこまれた「世にも不幸なできごと」の世界が素晴らしい。ティム・バートン作品を髣髴とさせる、ダークな景色に凝りに凝ったセットと衣装。原作を読んだことはないが、この寒々とした不思議な物語の雰囲気を見事に再現しているんじゃないかな。それにCGを使わずに、お金をかけたであろうセットがかえって新鮮で、映像にも暖かさを感じさせてくれる。人物のちょっとした動きに反応して起こるセットのきしむ音がいいんだよね。
ストーリーについては、オラフ伯爵の嫌がらせに厚かましさと、無能な周りの大人たちにフラストレーションが溜まる一方(笑)。まさしくあまりに可哀想で観るのが止められない。原作は13巻あり、このパターンで次々と厄災が三姉弟妹を襲い、そして降りかかる不幸を知恵と勇気で切り抜けていくんだろう。なんちゅう児童書だ!これじゃあ幸せになるまで読むのを・・・止められないっちゅ〜の。一つ一つのエピソードがちょっと物足りないが、テンポを考えると致し方ないか。

そして水を得た魚のように、クドイ演技を楽しんでいるかのようなジム・キャリーがいい。DVDの特典映像で監督が、驚くことに本作のジム・キャリーの演技の80%が即興だったと明かす。ジム・キャリーに監督が質問し、役になりきって頭に浮かんだイメージをそのまま語らしている映像を見て、改めてジム・キャリーの類いまれな芸達者ぶりに感心する。しかし、その手法が今回成功したかどうかは疑問が残る。長々と続くジム・キャリーの独壇場のシーンは、その一つ一つは面白いんだけど、全体の作品のイメージを歪めている様に感じた。主役はあくまでもけなげな三姉弟妹なのだから。
それから観てる途中であれ?このおばさんメリル・ストリープに似てるなあとか、ええ?もしかしてダスティン・ホフマン?と思ってたら本物だった(笑)。おまけにエンドクレジットで、レモニー・スニケットがジュード・ロウと分かりビックリ。いやあ〜、凄い豪華なキャスティングだったんだ、ハハハ。

最後の方に素敵な言葉を聴くことができるが、残念ながら私的にはもう一息だった。それはたぶんファンタジー映画だと思い込んでいたのに、親権問題だったり結婚の条件だったり、生々しい法律が絡んで結構現実的だったからだろうなあ。それとなんだかTVの連ドラみたいに、まだまだ続きそうだもんね^^;

【DVD映像特典】