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『家族の気分』
【感想】 ★★★★★  H17.7.20
家族の気分 「ムッシュ・カステラの恋」のアニエス・ジャウイ&ジャン=ピエール・パクリの名コンビによる大ヒット戯曲を「猫が行方不明」のセドリック・クラピッシュが映画化した『家族の気分』を観る。たまたま見た雑誌にフランス映画特集があり、そこで見つけたのがこの作品。多分知ってる人も少ないだろうし、まず店頭で売ってない(笑)。自分はこんな素晴しい映画に出会うためにいろんな映画を観続けているんだろうなと思ってしまう、そんな映画です。母国フランスでも大ヒット・ロングランを記録して244万人を動員。セザール賞も3部門受賞した。それほど凄い映画なのに、本を読むまで知らなかったとは・・・。

 毎週金曜日は長男アンリが父から受け継いだカフェに集うメナール一家。この日も母親と弟とその妻、妹と集まってくる。そしてなぜかこの集会に残っている使用人。久し振りの再会で盛り上がる中、それぞれが問題を抱えていることからカフェの中は次第に日頃のウップンを吐き出す場に変わっていく・・・。

 舞台劇であることから、映画でもほぼこのカフェの中で物語りは進んでいく。そして出演者たちは、その大ヒットした舞台劇で実際に演じていた俳優さんたちをそのまま起用して作られているので、はまり役というところを越えて、とにかく完璧にその登場人物が完成されている。お互いの間といい、掛け合いといい抜群のコンビネーションを見せる。心地よいテンポのよさはまるでほんとの舞台を観ているような気分に。密室ということで、そのほとんどが会話のシーンなのだが、このセリフの応酬が抜群に素晴しいのだ。ハリウッド映画に慣れてる人には退屈に思われるこの会話のシーンが、私には実に心地よく、ユーモアがありスマートでもあり、まさしくオコチャマには分からない大人気分を味あわせてくれるのだ。
ジャケットにも書いてあったけど、笑いと涙とほろ苦さがつまった傑作ファミリードラマ、私の超オススメの作品です。