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『ビッグ・リボウスキ』
【感想】 ★★★★ H17.9.24
ビッグ・リボウスキ ジェフ・ブリッジスがいつもの渋い役と違い、とんでもなくだらしない男という意外な役を演じた、コーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』を観る。このDVD廃盤になったのかどこにも売ってなくて、今手に入れようと思ったら『コーエン・ブラザース スペシャルBOX』を買うしかなかったのに、ある家電量販店のワゴンセールで偶然発見し即購入。こんな面白い映画がワゴンセールで叩き売られるとは、みんな・・・・このまま知られずにいて欲しい(笑)。

 世界一の無精者ジェフ・リボウスキ(本人は人にはデュードと呼ばせる)(ジェフ・ブリッジス)は、職にも就かずなぜかボーリングに夢中。ある日家に帰ると二人の男が待ち構えており、女房の借りた金を返せと脅され、絨毯に小便まで掛けられる始末。まったく身に憶えのないデュードは二人の男たちの会話から、同じ名前の大富豪と間違えられたと知り、汚された絨毯の責任を取ってもらために大富豪リボウスキの屋敷に乗り込む。しかし逆に説教されまったく取り合ってもらえなかったが、執事を騙しまんまと高級絨毯を運び出させて一件落着。っと思っていたところに一本の電話が。なんと大富豪の若妻が誘拐され、なぜかその犯人との身代金の受け渡し役を頼まれてしまう。報酬に釣られ簡単に引き受けてしまったデュードは、次から次へと泥沼にはまっていく・・・。

 世界一の無精者デュードを楽しそうに演じるジェフ・ブリッジスを取り巻く個性的なキャラクターたちが、とにかくみんな強烈なのだ。同じボーリング仲間で、すぐキレて暴走してしまうベトナム帰りの危ない男ウォルター(ジョン・グッドマン)。このぶっ飛んだウォルターのいかれっぷりは、ある意味本作の影の主人公とも呼べるだろう。そして、もう一人のボウリング仲間のドニー(スティーヴ・ブシェミー)の間の悪さと、この三人の噛み合わない会話のバカっぷりといったらない。さらに大富豪の娘であり、前衛芸術家のモード(ジュリアン・ムーア)やらゲイのライバル・ボーラーのジーザス(ジョン・タトゥーロ)やらと、出てくる連中がみんなヘンなやつっばっかり(笑)。ジュリアン・ムーアのモードが最初に登場するシーンのインパクトといったら、現在の彼女からはとても想像できませんよ。いやあ〜、こういうヘンてこなキャラクターでぐちゃぐちゃになる映画、ほんと大好き!

この映画を観て、ふとなんでボーリングだっただろうと思った。しきりと挿入される、ボーリングの玉からの視点とかスローモーションでハジケ飛ぶピンのシーン。へんてこな連中に囲まれてなお無精を貫き通すデュードから、なにか俗世にまったくとらわれない超然としたものを、ありえないが感じてしまった。最初は主人公のデュードをこんなだらしない男が、なんて思ってしまうが、最後にはもしかしたらデュードが一番まともなんだったんじゃないかって思ってる。そしてラストのデュードのセリフの「あたる時もあれば、外れるときもあるさ」から、やっとなんでボーリングだったのか分かったような気がした。なるほど、人生とはまるでボーリングのよう。いいも悪いも紙一重。だから人生は面白いっていうことなんだなあ・・・、とか勝手に悟ったような気になったが、ほんとのところはまったく知らない。