サブリナの休日トップページサスペンス

『ユージュアル・サスペクツ』
【感想】 ★★★☆ H18.11.3

 時間軸を巧みに操作する絶妙のサスペンスと、驚きの結末で映画ファンを魅了した犯罪群像劇『ユージュアル・サスペクツ』を観る。監督は「X−MEN」や「スーパーマン・リターンズ」のブライアン・シンガーで、自身第2作目の監督作品であり、早くも高い評価を受け注目される。さらに本作は1995年度のアカデミー助演男優賞・最優秀脚本賞をも受賞する。DVDはいったん廃盤となり、その後なかなか再販されなかったが、いきなり廉価版で発売され、即購入。いやあ〜、久しぶりにいいタイトルが発売されてうれしいねえ^^

 銃器を積んだトラックのハイジャック事件の容疑者として、5人の男たちが拘束される。男たちにはいずれも前科があり、証拠もないままただ前科者という理由だけで取調べを受けていた。偶然出会った5人は、牢屋の中で語り合ううちに、ある強奪計画を練り始める。6週間後、桟橋で27人が殺され、9100万ドルのヤクが消えるという事件が起こる。惨劇の中、生き残った二人の内の一人、ハイジャック事件の容疑者だったキントは、あの日面通しが終わった後の5人の足取りを静かに語り始める・・・。

 オープニングからラストまで、綿密に計算されつくしたストーリーで、無駄なシーンが一切無い。ほぼ完璧に近い作品。事件の中で見え隠れする、どれだけ恐ろしいんだかと思わせるエピソードに、存在さえも分からない正体不明にして恐怖の男“カイザー・ソゼ”。最初に本作を観た時、その謎を私は最後の最後まで分からなかった。観終わってすぐ浮かんだ言葉は、「ええ!!・・・分かる訳ないがぁ」だった。そのあまに鮮やかな仕掛けと、見事なはめられ感は、心地よささえ感じさせた。ネタばれになるため、書けなくてもどかしいが、再見してさらに見えてくる謎や伏線も、また心地いい。見事な傑作サスペンス作品で、映画ファンがサスペンス映画のオススメとして必ずあげるタイトルとなった。

さらに、この個性的な5人の前科者たちがいいんだなあ。カブリエル・バーンの重厚な演技に、ケヴィン・スペーシーの上手さ、デル・トロの抜群の存在感。おまけに大好きな名脇役のピート・ポスルスウェイトまで出演してるという、今思えばとんでもない超豪華な顔ぶれだったんだねえ。この名優達を見てるだけで楽しくなってくるよ。惜しむ無くは当時私はガブリエル・バーン以外は、なんか見たことあるな〜ぐらいしか知らなかった^^;。私はある雑誌で絶賛されていた本作を、ビデオで掘り出し物的に観たんだけど、今をときめく監督のブライアン・シンガーや、本作が出世作となったケビン・スペイシーやデル・トロのネームだけで、本作を公開当時劇場で観られた人を尊敬します^^。