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『トゥルーマン・ショー』
【感想】 ★★★★☆ H17.8.20

トゥルーマン・ショー 類を見ない奇抜なストーリーに、ジム・キャリーが卓越した演技力を見せつけた『トゥルーマン・ショー』を観る。監督は「刑事ション・ブック」や「今を生きる」で詩情豊かな映像に、力強いヒューマン・ドラマを展開したピーター・ウィアー。ハリソン・フォードやロビン・ウィリアムスもこの監督の手腕により、俳優としての幅を広げたように、ジム・キャリーも本作で俳優としての新境地を開拓した。

 「おはよう! こんにちは! そしてついでにこんばんは!」
いつものようにトゥルーマンの一日が始まる。そしていつものようにお店で新聞と雑誌を買い、双子の老人と挨拶を交わし、自分の保険会社のオフィスビルへ入っていく。そしてなぜかその様子をTVで観ている人々。なんとその世界は何もかもが作られたものであり、妻や親友や通りすがりの人まですべてがエキストラであり、ただ一人その事実を知らないトゥルーマンは現実の世界として暮らしているという、架空の世界だった。そしてトゥルーマンのすべてが24時間世界中の人たちに向けてTV中継されていた。そんな時いつものように会社へと向かう車のラジオから、自分の様子を話す声が聞こえてきた・・・。

 本作のジム・キャリーはまさにはまり役で、トゥルーマンの無垢な人柄に、時々見せる戸惑いと悲しみの目と、見事に演じていた。そこにはコメディ映画でみせたオーバーアクションや顔芸は一切出てこない。こんなに素晴しい役者だったのかと感心してしまった。そして神のごとくトゥルーマンを導く?TVプロデューサーのクリストフを演じる、エド・ハリスの風格と貫禄。ストーリーに俳優と、すべてが私のツボにガッチリとはまった、私大絶賛の映画でした。

この映画を観て、劇場を出る頃妙な感覚に襲われた。自分もトゥルーマンと同じ状況だったら・・・、いや、よく考えたら似たような状況にいるんじゃないだろうか。多かれ少なかれ、自分の人生が誰かに操作されてる感を感じることはないだろうか。そんなことを感じてみょう〜な気分になったのを思い出した。
管理体制の下で、操作されてることも知らずに自分の人生だと思い込んでいるトゥルーマン。親友だと思っていた男も、マイクから聞こえてくるセリフをただ繰り返しているだけの俳優。なんて切ない設定なんだろう。そして偽りの世界から飛び出そうともがくトゥルーマン。ベタな展開だが、なぜか涙が流れてきた。人生とは誰のものなんだろう。この一瞬も大切な自分の人生だと思うと、しっかり生きなきゃなあ〜、なんて思います。