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『初恋のきた道』
【感想】 ★★★★ H25.6.20
 「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイー映画初出演となった、チャン・イーモウ監督の『初恋のきた道』を観る。第50回ベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞した作品だけど、この嬉し恥ずかしいジャケットの写真やタイトルから、まあ観ることはないと思っていたが、たまたま光テレビでやっていたので観ることに。どういう訳かこのタイトルを聞くと、昔TVでウッチャンがやっていたチャン・ツィイーの走るモノマネが浮かんでくるんだけど、こうして作品を見終えた今、私も猛烈に真似してみたくなってしまった(^^)

 吹雪の中を、父の死の知らせを受け何年かぶりに故郷へと戻ってきたルオ・ユーシェン。失意の母は、村に古くから伝わるしきたり通り、父の遺体を担いで帰ると言ってきかない。ユーシェンは部屋に飾られた、若い父と母の写真を眺めながら、昔聞いた二人のなれそめを思い出す・・・。
 
 全編ほぼチャン・ツィイーの豊かな表情をアップでとらえた映像で物語はつづられていきます。そしてカメラは、今しかないその瞬間にしか発することができない純粋無垢な輝きを体現するチャン・ツィイーを見事にとらえていきます。彼女の本当に嬉しそうに微笑む笑顔にほっこりし、どこまでもいじらしい姿に胸がキュンとなってしまいます。そしてチャン・ツィイーは、丸々と着込んだ服でパンパンになった体を揺すりながら、なぜか両手は下げたままひたすら走る・走る・走る。テクニックやあざとさなど余分なものは何も付いてない初々しいチャン・ツィイーを見ているだけで、初恋のように甘酸っぱくて切ない想いを、観る人それぞれが思いを馳せるだろう若き頃の記憶とともに、色鮮やかに思い出させてくれる、感じさせてくれる作品です。
オープニングは雪が降り積もる極寒のモノクロの世界で、ただ年老いた母のわががまに翻弄される息子っていう感じだった。けれど回想で雄大な景色の中で健やかに愛を育む若い二人の物語を終えて、再びモノクロの世界へ戻るとそこは、貧しく厳しい環境であることは変わらないが、いつまでも消えることのない愛の記憶と人の優しさに、全く違う温かさに包まれた世界が広がっていたと感じさせるラストも、素敵でしたねえ(^^)