サブリナの休日トップページパニック

『ポセイドン・アドベンチャー』
【感想】 ★★★★ H25.6.9
 以降同ジャンルの作品に多大な影響を与えた、パニック映画の金字塔『ポセイドン・アドベンチャー』を久しぶりに観る。もうずいぶん昔に見たきりだったが、某サイトでブルーレイがかなりの割引で発売されていたのを発見し即購入。

 大西洋上を航行する豪華客船ポセイドン号の船内では、大晦日のパーティーが開かれていた。乗客たちがそれぞれが歌い踊り楽しいひと時を過ごしている最中、操舵室では恐るべき地震による津波の情報をキャッチしていた。直ちに発せられる救難信号と、船内に轟くサイレンの音。そして30mを超える大津波はポセイドン号を飲み込んでいった。

 巨大津波により180度ひっくりかえってしまった船内を、決死の覚悟で脱出を試みる10人の乗客の話なんだけど、極限状態の中で繰り広げられる息詰まるアクションがまず凄い。CGもない時代に、細部にまでこだわり綿密に作り上げられた船内のセットに、痛々しい生身のスタントで繰り広げられる脱出劇の手に汗握る迫力は、今見ても全く色褪せない面白さでラストまでスリル満点で見せてくれる。そしてさらに、個性的な面々が奏でる人間臭いドラマがまた素晴らしく、涙と感動を呼ぶ。次々と船内に流れ込んでくる大量の水に、突然襲いくる爆発に見舞われながら、必死に機関部へと船内を登っていくんだけど、途中一人また一人と命を落としていくんだよねえ。なかでも太った気のいい老婦人のエピソードは、何度見ても切なすぎてたまらない。あくまでも運命は神に託すものでなく、自分の力で切り開くものだと訴える型破りな神父によって導かれる数々の試練は、命の尊さ、そして命の儚さを、時に厳しく、そして力強く観る者の胸に刻み込んでゆく。そしてそれぞれが逆境の中で試される信念と勇気にまた涙してしまった。

当時小さな作品が主流だった時代に、豪華キャストと莫大な製作費をつぎ込んで完成した本作は、たぶん失敗するだろうという周囲の予想を超える大ヒットとなる。そして以降同様な大作のパニック映画が次々と製作されていったが、それらすべてを合わせても本作は今なお群を抜く迫力と見応えで楽しませてくれる、まさしく傑作と言える一本だねえ、素晴らしい。