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『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』
【感想】 ★★★★☆ H17.10.30

 現在公開中の「コープス・ブライド」つながりで、奇才ティム・バートンが製作・キャラクター原案を担当したダーク・ファンタジーの名作『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を観る。ティム・バートンのってあるので、てっきり監督もしてるのかと思ったら、監督は別の人でヘンリー・セリックという人がやってます。でもティム・バートン組と呼ぶべきスタッフが多数参加しており、作品はまさしく暗いけどなんだか暖かいバートン・ワールドなのだ。

 ハロウィン・タウンのキングであるジャックは、今年も中心になってハロウィンのお祭りを取り仕切り、住人達も大盛り上がりのうちに終了する。しかし毎年繰り広げられるハロウィンのお祭りも、ジャックにとって何か物足りものに変わっていた。そんなある日ジャックは別世界の扉がたくさん並ぶ森へ迷い込んでしまう。ジャックはそれぞれの木に作られた扉の中に、ひときは華やかなクリスマスツリーの絵が描かれた扉に心を奪われる・・・。

 オドロオドロシイ世界の中に、グロテスクな住人達が息づくハロウィン・タウン。骸骨のジャックをはじめ、ジャックを想うツギハギ人形のサリーに、二つの顔がくるくると回る市長、頭に斧が突き立った男など登場する個性的なキャラクター達のの際どいこと。最初はあまりにもユニーク過ぎて、ちょっと戸惑ってしまうんだけど、見ているうちに次第に愛しくなるから不思議。たぶんキャラクターたちがCGではなく、それぞれがすべて手作り感のあるマペットで出来ているからだろうね。グロテスクの中にも、暖かさを感じる。
そんなキャラクターがバートンによって命を吹き込まれ、生き生きと歌いそして踊りだす。なんという夢のような世界!この映画は何を語っているのかとか、これはジャックが自分らしさとは何かを発見するとか、そんな難しいことなんか一切考える必要なし。ただこのハロウィン・タウンの世界にどっぷり浸る。観終わった時、観る前にイメージしたものとまったく違う、なんとも言えない不思議な安らぎを感じているのだ。そこには昔観たNHK教育の人形劇を久し振りに見たような懐かしさが共に。

たくさんの印象的なシーンがある中で、私の一番好きなシーンは、あのサンディ・クローズがいじめられるところ(笑)。一番幸せ感を感じさせるはずのサンタクロースが、どこか顔つきもいかがわしく、なんだか憎たらしくなるから不思議。そんなブラックもバートンらしく、一見子供向けの人形劇を見事に大人のファンタジーに昇華させている。素晴しい!