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『ミスト』
【感想】 ★★★★ H22.8.16
 “映画史上かつてない、震撼のラスト15分”
「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続く、スティーブン・キング原作とフランク・ダラボン監督のコラボ作品で、そのあまりのラストの衝撃が話題となった『ミスト』を観る。映画化が上手くいかないケースが多いキング作品、ダラボン監督はどんな作品にしてくれたんだろう。

 真夜中の突然町を襲った嵐により、デイヴィットは家の被害に加えて、作成中だったイラストも台無しになったため、翌朝息子のビリーと一緒にスーパーへ買出しに向かう。スーパーには同じ様に嵐の被害により訪れた人達で賑わっていた。妻の買出しリストを見ながら、息子と楽しく買い物をしていたが、突然大きなサイレンが響き渡る。そこへ一人の男が、血相を変えてスーパーに入り込んくる。男は叫ぶ。「霧の中に何かいるぞ!」

 突然立ち込めた霧により、スーパーに閉じ込められる人々。のどかな状況から一瞬にして悪夢のような世界に遭遇する恐怖。小さい頃に読んだSF小説のように、想像力を掻き立てる、身震いするほどありえないシチュエーションにもう釘付けだ。霧の中に潜む何かが、最初に姿を現す倉庫のシャッターを開けるシーンの、息を呑むほどの恐怖は、そこだけ何度も繰り返して見たくなるほどの衝撃と魅力に溢れている。
次第に明らかになっていく真実に、精神を崩壊させていく人々が、神の預言者として人々を煽り続けるミセス・カーモディにより、狂信的な集団へと変貌していくさまの恐怖。未知の生物達に襲われる恐怖。霧の先にまったく希望が見出せない恐怖。見ている自分も、霧に囚われてしまった人達と一緒に共有させられる絶望に、言い知れぬ不安で息苦しくなる。まさしく人生のように一寸先は闇ならぬ霧。素晴らしい恐怖!キングも喜んだろうなあ(^^)
ただクリーチャーが、最初にシャッターを開けた時に現われた触手以外は出来がイマイチで、戦うシーンもどこかそらぞらしく、おおいに作品の恐怖感をそいでいる。かえって狂気へと変貌していく集団心理の方が空恐ろしく、まず霧の中にひそむ何かを期待して見たので、そのへんはちょっと意外だったかな。

そしていよいよ衝撃のラストとなるんだけど、これは絶対誰にも何も聞かず、とにかく見てほしい。この原作と違うラストにより、本作はホラー映画として確実にワンランク上へ高められている。そして私はまだ見たことないんだけど、ダラボン監督がこっちで公開したかったというモノクロ版は、さらに雰囲気があり、いい出来らしい。こちらもなんとか見たいんだけど、現在発売中のブルーレイにも収録されておらず、ちょっと高いコレクターズ・エディション版のDVDにしか収録されてないようなのだ。なんとかして見たいものだけど、んんん〜。