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『荒野の七人』
【感想】 ★★★★★ H17.11.6
 ご存知黒澤明監督の代表作『七人の侍』をリメイクした、映画史上に残る西部劇の傑作『荒野の七人』を観る。当時アメリアでは意外に評判が悪く1週間で打ち切りとなり、その後ヨーロッパで大ヒットとなる。それを受けてアメリカで再上映となり大ヒットとなった。ジョンフ・フォードの「駅馬車」など、数々の傑作を輩出してきたハリウッド製西部劇の、本作は集大成ともいえる作品だろう。

 メキシコにある小さな村イストラカンは、度々やってくる野盗のカルヴェラたちに収穫を奪われ、村人達はいつも貧困に苦しんでいた。なんとか今の状況を打開したい村人達は長老に相談する。長老は銃を買い闘えと言う。さっそく町に銃を買いに来た村人の3人組は、偶然凄腕のガンマン クリス(ユル・ブリンナー)に出会う。クリスは銃を買うよりガンマンを雇う方が安いと、ガンマンたちのスカウトを始める。一人20ドルというわずかな報酬にもかかわらず、クリスの呼びかけに各々の事情を抱えたガンマンたちが集まってくる・・・。

 なんといってもこの奇跡のようなキャスティングが素晴しい。当時既にスターだったユル・ブリンナーは別として、ほとんど無名に近かったがスティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンら若手俳優たちの、本作をステップにスターへの階段を駆け上がっていった初々しくもカッコイイ男臭さをプンプンと漂わせる姿を、たた見れてるだけで最高にいい気分に。同じショットの中に、このメンバーが一緒に映っているだけでもはや涙が出るほどの感動である。そしてその中でも大好きなスティーブ・マックィーンの、颯爽とした身のこなしとスマートなガンさばきは、誰よりも輝いていた。

このDVDに貴重なメイキングが入っているんだけど、ユル・ブリンナーとスティーブ・マックィーンの対立の話が面白いのだ。セリフの少ないマックィーンが目立つために、アドリブで帽子をいじったり川を馬で渡るシーンでは帽子で水を汲んだりと、勝手なことばかりやり、ブリンナーに「これ以上勝手をすれば辞めてもらう」って言われたらしい。いや〜、よく見ると関係ない奥の方にいるのに帽子を振ってたりして、なんとも微笑ましい(笑)。こういうブリンナーの引き立て役にはならないぞっていう反骨心がマックィーンらしく、そのガッツに改めて彼が好きになったが、共演者はたいへんだったろうなあ(^^;)
それから本作DVDの吹き替えの声優さんたちがまたいいんだなあ。この俳優さんにはこの声優さんという、クリント・イーストウッドには山田康夫みたいな、昔から聞いているこの人の声じゃなきゃ違うっていうぐらい馴染んでいる声優さんがあてている。マックィーンには絶対内海賢二、ブロンソンには大塚周夫であり、コバーンには小林清、これは絶対に外せないでしょう。

ほとんどの出演者が亡くなってしまった今、映画の中で彼らの輝きはいつまでも色褪せることなく、永遠に生き続けて行く。やっぱり映画って本当に素晴しいよ。