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『ホビット 竜に奪われた王国』
【感想】 ★★★☆ H26.10.19
“邪悪な竜、目覚める。”
 アカデミー賞を始め数々の映画賞を受賞し、大ヒットを記録したピーター・ジャクソン監督の冒険ファンタジーの傑作「ロード・オブ・ザ・リング」。その前日譚となるJ.R.R.トールキン原作「ホビットの冒険」を描いた新三部作の第二作目『ホビット 竜に奪われた王国』を観る。前シリーズが完璧だったため、二匹目のドジョウを狙った的なこの新シリーズに、どうにも意欲がわかなくて、劇場へも行かずずっとスルーしていたが、新シリーズ一作目となる「ホビット 思いがけない冒険」のブルーレイの廉価盤がでたのをきっかけに観ることに。そしてこの二作目、シリーズものなのでもはや観るしかないだろう。

 エレボールのドワーフの王国をドラゴン“スマウグ”から取り戻すために旅を続ける、魔法使いガンダルフと13人のドワーフ達。そしてカンダルフに誘われるままにその危険な旅に同行することになったホビットのビルボ・バギンズ。邪悪なオークたちに追われながらも、旅を急ぐ一行は、危険な闇の森を抜けることにする・・・。

 仕方ないことだが、新シリーズが前シリーズと比べると、一頭の竜を倒すだけという、かなりこじんまりとしたスケールで、スピンオフ感が半端なかったが、新シリーズ2作目にして冥王サウロンに、あのオーランド・ブルーム演じるレゴラスまで登場し、「ロード・オブ・ザ・リング」の匂いがかなり色濃くなっている。なんだか懐かしくもあり、あの時の興奮がよみがえってくる。さらに舞台となっているニュージーランドの、驚くほど雄大で美しい風景がやはり素晴らしく、緑鮮やかな草原をひた走るビルボ達の姿を、俯瞰で映し出すシーンは、ただそれだけで冒険ロマンに溢れている。それまでのドワーフ達だけのもっさりとした戦闘シーンは、今回新しくエルフも加わり、珍しくガンダルフもちゃんとした魔法を駆使して闘うので、見応え十分だった。特に激流を下りながらオークたちと戦うシーンでは、懲りまくった目まぐるしいカメラアングルに、バッタバッタと敵を一撃で打ち倒していく鮮やかさは、一瞬たりとも目が離せないスピード感に溢れていた。レゴラスに至っては、まるでゼルダの伝説のリンクのように、無重力のように飛び回っては弓を射るという、もはや笑ってしまうほどの無敵状態だった。そして今回新たに登場した、エルフの女戦士タウリエルも、レゴラスに負けない活躍を見せて楽しませてくれる。彼女どこかで観た女優さんだと思ったら、あの「LOST」のケイト役の方だった。いい役をゲットしたねえ。

ただ反発しながらも徐々に信頼と友情を深め、たくさんの種族が固い絆のもと最後まで戦い抜いたフロド一行と比べると、ビルボ一行にはあまり熱いものが感じられない。まして自分たちのためだけに戦うドワーフ達には、ちょっと共感もできなかったりする。なにより同じようなドワーフが13人もいて、誰が誰だか見分けがつかないのが辛い。まさかのタイミングでエンディングを迎えたが、この辺は次回の最終章となる「ホビット 決戦のゆくえ」に期待するしかないかな。しかし、あと30分ぐらいで完結しそうな勢いだったけど、あそこで切っちゃうとはねえ。思わず「ええ!!〜」だったよ。