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『エクソシスト』
【感想】 ★★★★ H24.5.13
 70年代、日本にオカルト・ブームなるものを巻き起こした、ホラー映画の名作『エクソシスト』を観る。この超有名な作品を、実は私は見たことがなかった。何かの特集とか予告編みたいなもので、恐ろしい場面をちょこっとだけ見る機会はあったが、ずっと遠ざけていた。それはただただ見るのが怖かったから(^^;)その作品をついに見てしまった・・・。

 女優であるクリスと娘のリーガンは、映画のロケ地で穏やかな日常を送っていた。ある日リーガンの周辺で異常な怪現象が起き、リーガン自身にも何かに憑りつかれた様に別の人格が現れ、卑猥な言葉を喚き散らすようになった。病院で何度も検査を受けるが原因はつかめず、打つ手がなくなった医者は、ショック療法として“悪魔祓い”をすすめる・・・。

 傷だらけのおぞましい顔に、ベッドが揺れたり首が回ったり、そして緑色の液体を吐き出したりと、とにかくそんなシーンばかりが、これでもかと続いていくのかと思っていたが、実際に見ると意外にもそういうショッキングなシーンはそれほど多くなく、かなり構えていたので怖いながらもちょっとホッとする。メリー神父の対決の場面も、ええッ!こんなに短かったっけえ、って思うほど少なかった。さらに意外だったのは、印象に強く残ったのは、そんなオカルトチックな場面ではなく、何気ない日常生活の中で、静かに忍び寄ってくる悪魔の影を予感させるシーンだった。不吉な予兆を巧みに感じさせるシーンの数々は、道路のアスファルトに風によって巻き上げられる木の葉にさえ、言い知れぬ恐怖を突きつけてきた。そしてジャケット写真にもあるような、印象的なショットも随所にあり、その丁寧なつくりはなにか格調さえ漂わせる。凄い!

 自分の中にある恐怖の原点を見透かされていくような緊迫感と、何の信仰のない者にさえ、目に見えない何かを肌で感じさせるリアリティ。ただ血みどろでこけおどしだけで押してくる昨今の安っぽいホラー映画と一線を隔す、魂が底冷えするような極上の恐怖を感じさせる。まさしく第一級のホラー作品と呼べるだろう。しかしこれを当時劇場で見た人は、とんでもなく怖かったでしょうねえ(^^;)

この映画、大ヒットしたことで続編が作られたのは知っていたが、その後も3が作られ、2004年にはなんとメリン神父の若かりし頃のエピソードということで「エクソシスト・ビギニング」という作品まで作られていたとは知らなかった。私はたぶん見ませんが、興味がある方はどうぞ。

ただやはり、あの凄まじいリンダ・ブレアのアップの顔が目に焼き付き、当分見ることはないだろうなあ(^^;)