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『すべてをあなたに』
【感想】 ★★★☆ H18.1.28

 オスカー俳優トム・ハンクスが映画監督初挑戦にして、そのマルチな才能を発揮した快作『すべてをあなたに』を観る。ハンクス自身も言っていたが「アポロ13」と「フォレスト・ガンプ」で演技力を使い切った気分だったところへ、ジョナサン・デミの助言により監督を手がけることに。っといっても、自身もしっかり出演し、その存在感はさすがだった。

 ビートルズが世界を席巻した1960年代、ペンシルバニア州エリーで父親の電気店を手伝っていたガイ(トム・エヴェレット・スコット)のもとに、地元バンドのジミー(ジョナサン・シェック)とレニー(スティーブ・ザーン)がやってくる。大学のコンテストに出場予定だったところへ、バンドのドラマーが腕を骨折し、ガイの腕を見込んでその代役を頼みに来たのだった。バンドで演奏することを望んでいたガイは快諾。ガイをメンバーに加えたワンダーズはリハーサルもそこそこに出場したコンテストで、バラードだった曲をガイのひらめきで急遽アップテンポで演奏したことで、会場内は大盛り上がりのうちに見事優勝を果たす。ワンダーズの「ザット・シング・ユー・ドゥ」はその後も評判を呼び、大手レコード会社の敏腕プロデューサーのミスター・ホワイト(トム・ハンクス)に見出され、ついにメジャー・デビューを果たす・・・。


 メイキングでトム・ハンクスが語った通り、見終わった後に最高に爽やかな気分になる。ハンクス自身がキャスティングしたほとんど無名に近い若手俳優たちの、初々しい演技も爽やかなんだけど、なによりこれもハンクス自身が作詞作曲をしたという「ザット・シング・ユー・ドゥ」が素晴らしい♪。いかにもあの時代の音楽であり、劇中で何度も演奏されるんだけど、その度に気分はノリノリで楽しくなる。観終わった後も当分そのメロディーが頭の中でリピートされ、気がついたら思わず口ずさんでる。なんともいい気持ちになれる映画なのだ。

 ビートルズ大好きのトム・ハンクスが、デビューから瞬く間に世界中にビートルズ旋風を巻き起こし、ついにはポップス界の頂点に上り詰め、やがて終わりを迎えたビートルズに捧げたオマージュ的作品なんだろうなあ。ひたむきに夢に向けて駆け上がっていく若者たちの姿に心を躍らせ、自らの夢と希望を描いたであろうトム・ハンクスの、ビートルズを聞いていた頃の気持ちを同じように追体験している気分なのだ。私はビートルズ世代ではないけど、多分そうなんじゃないのかな・・・っと(笑)

 若い頃のトム・ハンクスに笑った顔や表情がそっくりなトム・エヴェレット・スコットや他のメンバーも良かったが、この映画のヒロイン的存在であるリブ・タイラーがとってもキュートだった。ジャケットの写真で踊ってるリブ・タイラーのポーズは、作品の内容を混乱させたが(笑)。そしてチョイ役だけどガイの恋人役でなんとシャーリズ・セロンが顔を見せる。そのふっくらしたほっぺに、どこか田舎臭さを感じさせる姿から、誰が後のオスカー女優の姿を想像しただろうか・・・。

たまには肩の力を抜いて、楽しい気分で観るこんな爽やかな映画もいいもんだなあ^^