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『テイク・シェルター』
【感想】 ★★★ H25.9.7
 “この恐怖は悪夢か、それとも現実化−”
第64回カンヌ国際映画祭で批評家週間グランプリや国際批評家連盟賞をはじめ、さまざまな映画祭で賞を受賞した『テイク・シェルター』を観る。私はDVDやブルーレイを購入する時は、はずれを引かないように入念に情報を収集して選んでいるんだけど、本作は見たことも聞いたこともなかったけど店頭で手に取り、ジャケットに記載されていた映画賞の受賞歴やこの複数の竜巻をバックにした家族らしき3人の写真を見て、これはひっとして掘り出し物じゃないかと思い購入。さっそく見てびっくり、完璧に「ツイスター」のようなディザスター・ムービーだと思ってたんだけど、結構地味な作品でした(^^;)

 自宅の前で、空一面を覆う不気味な雷雲を眺めているカーティスに、突然降りつける黄色い雨。この日以来毎夜悪夢にうなされる日々が続く。カーティスは次第に嵐がやってくるという強迫観念にとらわれていき、仕事も手につかなくなる。ついに借金をして避難用シェルター作りにのめり込んでいく・・・。

 オープニングの悪夢の映像から、物語はずっと主人公のカーティスの身に起こることが、精神の異常による妄想なのか、それとも何かの予兆なのかと、想像をぐるぐると巡らされる展開が続く。そう、あのシャラマンの思わせぶりぶりな展開だ。そして真実がいつ明かされるのか、ジャケットの写真のようなシーンがいつ訪れるのか、期待は高まるばかり。ただ恐ろしく展開が遅く、悪夢のシーン以外派手なシーンは皆無なんだけど、なんだか目が離せない。悪夢と現実のはざまで、次第に追い詰められ常軌を逸していく主人公を、熱演するマイケル・シャノンの鬼気迫る熱演が、見ているものの不安を掻き立てる。とにかくこの人顔が怖い。
あまりにも災害について、無防備でノー天気な人類へ向けての警鐘なのか。もし自分の身に同じようなことが起こったらと、想像させられる恐怖。そしてひたすら掻き立てられる不安。この辺の演出の力が、映画賞で評価されたところなのか。ただ見せ場がなさすぎる、この映画。そして結局は、ジャケット写真とあまりにもかけ離れた、一人の男が妄想に取りつかれて自爆していくという、内向きの世界を描くという展開だけなので、ちょっと拍子抜けしてしまう。最後は、フ〜ン、まあそうだけど今さらねえ〜っと思った瞬間に終了。今回のひらめき購入は、どうやらはずれだったかなあ(^^;)