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『スーパーマン』
【感想】 ★★★☆ H18.8.12

スーパーマン 現在公開中の「スーパーマン リターンズ」を観た後に、クリストファー・リーブ主演の前作が無性に観たくなり、DVDを速攻で購入し『スーパーマン』を観る。改めて観てその豪華なキャスティングに、相当お金がかかったと思われるセットとスケールに、今観ても超大作だったことがわかる。そしてやはりロバート・レッドフォードやジェームズ・カーンなどの候補者を押しのけて、主役を勝ち取ったクリストファー・リーブのスーパーマンが素晴らしい。そしてたぶん何度も撮り直しただろう、スーパーマンの優雅でいて力強い飛行シーンは、この年のアカデミー賞特殊視覚効果賞を受賞している。

 惑星クリプトンは軌道のずれによる太陽への接近により、滅亡の危機に瀕していた。クリプトン最高の科学者ジョー=エル(マーロン・ブランド)は住人たちの星からの脱出を説くが、不滅を信じて疑わない議会の指導者たちは耳を貸さなかった。クリプトン爆発の寸前にジョー=エルは、まだ赤ん坊の息子カル=エルを完成したばかりのスターシップに乗せ脱出させる。惑星クリプトン生き残りの最後の一人となったカル=エルは地球に不時着し、偶然通りかかった老夫婦にクラーク・ケントと名付けられ育てられる。そして成長したクラークは義理の父の死をきっかけに、納屋に隠してあったクリスタルによって自らの使命を悟り、スーパーマン(クリストファー・リーブ)となる。

 久しぶりに観たんだけど、ところどころまったく記憶にないシーンが現れる。列車と競争する若きクラーク・ケントのシーンで、なんと車内でその姿を少女時代のロイスが目撃するシーンとか、ルーサーの基地に向かうスーパーマンが凍らされるシーンなど、あまりに覚えてないのでここまで忘れてしまったのかと心配になったが、このDVDがディレクターズカット版で、約8分の未公開シーンが追加されていたものだった知り、ホッ。冒頭からマーロン・ブランドの重厚で風格ある演技により、作品自体がドラマ性の濃い超大作へと昇華する。また、もはやスーパーマンの方がクリストファー・リーブをモデルにしたんじゃないかと思われるほどのハマリ具合と、その端正なマスクと凛々しさが眩しい。そして今現在、享年52歳でこの世を去ってしまったクリスタファー・リーブを知る私にとって、この後に彼自身に実際に起こる悲劇と、その後の彼のリハビリの日々を思うと、画面から笑いかけるクリストファー・リーブの笑顔を見るだけで胸が熱くなる。ラストの方でロイスの死に遭遇してあげる悲しみの叫びで、涙が出てしまった。
丁寧でいて、時々交えるユーモアと作品全体を覆う太陽のような明るさと暖かさを感じさせるリチャード・ドナーの演出が素晴らしい。本作を何年かぶりに観て、こんなにも素敵な作品だったのかと、正直驚いてしまった。

このDVDには未公開シーンなどの映像特典に加え、リチャード・ドナーの音声解説が入っており、当時の苦労話などを思いいれたっぷりに聞かせてくれる。今現在の映像技術とは程遠い時代に、当時の世界最高のスタッフたち全員が、力を併せて奇跡のように作り上げた本作のシーン一つ一つが、感動的でたまらなくいとおしい。