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『スーパーマン リターンズ』
【感想】 ★★★☆ H18.8.12

スーパーマン リターンズ クリストファー・リーブ主演の前シリーズから19年、満を持して帰ってきた元祖スーパーヒーローの『スーパーマン リターンズ』を先行上映で観る。数々のアメコミ・ヒーロー達が映画化される中で、何度も映画化の噂があがっては消えがっかりさせられたが、現在の最新のVFXでどれだけ凄い映像を見せてくれるのか、今では良かったと思える。思えば生身の体で空を飛ぶヒーローなんていないし、ワイヤーで吊るさないで、どれだけらしく本当に空を飛ばすことができたのか、当然ながら期待は膨らむばかり。予告編も良かったしねえ^^

 自分の過去を知るために、スーパーマン(ブランドン・ラウス)が地球を離れ宇宙へと旅立って5年が過ぎていた。スーパーマンのいない世界は犯罪が急増し、宿敵のレックス・ルーサー(ケヴィン・スペイシー)も刑務所を抜け出し、北極に眠るスーパーマンの基地からクリスタルを盗み、着々とある計画を実行していた。そんな中、遂に彼は帰ってきた。再びクラーク・ケントとして新聞社デイリー・プラネットに出社した彼が目にしたのは、なんとかつての恋人ロイス・レイン(ケイト・ボスワース)の息子ジェイソンと彼女の婚約者リチャードだった。

 お馴染みのスーパーマンのテーマと、キャストの名前が尾を引いて飛んでいくオープニングからもう心の中で拍手喝采だった。そして新型のスペース・シャトルが火を吹いて操縦不能となったジャンボ機へ駆けつけるスーパーマン。青い空をまさしく弾丸のように飛ぶスーパーマンの姿に大感動!。バラバラになりながら墜落していくジャンボ機を、試合中のスタジアムの上で危機一髪キャッチするまでの大迫力シーンの連続に、ほんとに手に汗を握ってしまう。いやあ〜、19年待ったかいがあったよ^^。それにしてもロイスは機内であれだけ吹き飛ばされたり、たたきつけられたりしたのに、なぜに無傷なの?

しかしこの救出劇から話は意外な方向へというか、私が期待してた方向とは違う方向へ進んでいく。アクションよりも、スーパーマンとロイスのラブストーリーを中心に展開していく。故郷を失い、恋人まで失い、そして後半では力まで失ってしまい、いつしか孤独なスーパーマンに沈んだ気分になっていく。この新しいスーパーマン役のブランドン・ラウスがまた悲しそうな顔をするんだ、これが・・・。"なぜ世界はスーパーマンを必要としないか”っていうキーワードや、ブライアン・シンガーが故意にそういう演出をしたのか、いまさらスーパーマンもなあ〜みたいな空気がほんのわずかだけど感じられて、もうあの無邪気に輝いていた時代には戻れないみたいなノスタルジアを強く感じてしまい、たまらなく切なくなってしまった。そして最後に地球をバックにゆっくり旋回して飛んでいくお馴染みのシーンと、エンドロールに“クリストファー・リーブ夫妻に捧ぐ”っていう字幕を見て遂に涙。ここまで前シリーズへオマージュを捧げつつ、ラストに向けてのフリも利いてて、なんとも人間くさいスーパーマンを見せてくれたブライアン・シンガー、さすがってとこかな。

完璧にスーパーマンと化していたクリストファー・リーブに変わる新人のブランドン・ラウスは、ポスターではマネキンみたいな顔で心配だったけど、ほとんど違和感ないほどにスーパーマンしてた。ただカッコいい顔になったり、額にしわが入るとおっさん顔になったり、たまにちょっと不細工になったりといろんな表情を見せる。何が大変かって、メイクや覆面もなく素顔をおもっきり露出してるヒーローっていないから、オーディションも大変だったろうね。ブランドンは出演が決まるまでバーテンダーをしてて、7ヶ月半待たされたとか。決まって良かったね。敵役のケヴィン・スペイシーはさすがの演技で、悪役を楽しんでる感じだったなあ。あと、ロイスはどこに不満があるんだか、君にはもったいないくらいいい男じゃないかの婚約者リチャードが、サイクロップスのジェイムズ・マーズデンだったとは気が付かなかった。しかもブライアン・シンガーがX−メンVをあきらめて本作を引き受けたっていうのに、なぜにあなたが出てるの?

たぶん本作もシリーズ化されていくんだろうけど、弱点のクリプトナイトは面白くするためにしょうがないけど、次回はそこまで弱くしなくてもいいんじゃない^^;