サブリナの休日トップページファンタジー

『SUPER 8/スーパーエイト』
【感想】 ★★★☆ H23.7.13
 製作スティーブン・スピルバーグに、監督がJ・J・エイブラムスという、夢のコラボが実現した注目の話題作『SUPER 8/スーパーエイト』を観る。例により徹底的な秘密主義により、事前になかなか映像も公開されず、内容もほとんど謎に包まれていた。ただキーワードとして、少年達が主人公で「スタンド・バイ・ミー」と「クローバーフィールド」が一緒になったような作品、なんて情報だけ耳に入ってきた。この二つを一緒にねえ・・・、どうなるんだろうねえ・・・(^^;)

 1979年のアメリカ・オハイオ州。その夏、不慮の事故により母親を亡くしてしまった少年ジョーは、保安官の父とともに、4ヶ月たった今も深い悲しみを抱えていた。ある夜、親友のチャールズら映画作りに夢中にな仲間達と、撮影をするために町から離れた駅にやってくる。そこへ偶然貨物列車が走ってきた。これはいいシーンが撮れると沸立つ少年達は、慌てて撮影を開始する。すると突然、貨物列車の正面に現われた乗用車が、なんと猛スピードで先頭車両に激突してしまった。衝撃で脱線した車両は、轟音とともに次々と少年達に襲い掛かってくす。かろうじて難を逃れた少年達は、一面を炎に包まれ、変わり果てた車両の瓦礫の中に、呆然と立ちすくんでいた・・・。

 まず往年のスピルバーグ印よろしく子供達をメインに据え、おとなしくてまじめな少年を中心に、太っちょやメガネ、お調子者にさらにヒロインの女の子一人を組み合わせたありがちな仲良しグループに、懐かしい小物をチラチラと画面に挿入し、在りし日の少年時代を思い起こさせるような、もうコテコテの設定に思わず苦笑い。それでもやはり見ていくうちに、80年代とかこういう映画ってたくさんあったよなあ、とか、あの頃はなんかいい時代だったよなあ、なんて懐かしい気持ちになり、心地よいものがサラサラと流れ込んでくる。なるほどねえ、これはまさしくスピルバーグ印だよ。
J・J・エイブラムス監督が会見で「人生にはセカンド・チャンスがある」と語っている。これが本作のテーマとなっているように、セカンドチャンスに向けて再生の第一歩を踏み出すラストも、なんだかホロっとさせられるような、感動的な仕上がりになっている。まあこのラストについては、どこか唐突で、いいようにごまかされてる感じはしないでもないけど(^^;)でも、エンドロール中のおまけについては最高に面白かった。エンドロールがこんなに楽しかったのは初めてだよ(^^)

ただねえ、少年達の「グーニーズ」みたいな話の中に、あるもの(エリア51がらみといえば・・・)が絡んでくるんだけど、そっちの方のエピソードがあまりにも血なまぐさく強烈で、この二つの話がまったくシンクロしないんだよねえ。だいたいこんな大事件、最初から子供達で解決できるような事件じゃないんだもん、無理無理。せめて少年達で協力して何とかできるレベルの事件にするか、もしくは最初っからジョーのお父さんを主人公にしてた方が、J・J・エイブラムスの超緊迫演出が発揮できたんじゃないかなあ。なにか無理やり的なちぐはぐ感が残ってしまった。

結局良くも悪くも、見る前に思ってたイメージとまったく違う作品だったなあ。なにより私にとって事前にインプットされた「スタンド・バイ・ミー」というキーワードが、この作品の評価を大きく作用してしまうことになってしまった。もうこの私の大好きな作品をイメージしてしまった時点で、ハードルがメチャメチャ上がってしまったのだ。この先入観いらなかったなあ、かえすがえす残念。

公式サイト:映画『SUPER 8/スーパーエイト』公式サイト