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『スチームボーイ』
【感想】 ★★★ H16.4.10

 大友克洋の名を世界に知らしめた大ヒットアニメ「AKIRA」から16年、待望の新作長編アニメ作品『スチームボーイ』を観る。

 舞台は19世紀のロンドン、世紀の大発明「スチームボール」を巡る冒険活劇。
ストーリーや設定がやや似ているせいもあり、観ていてジブリの「天空の城ラピュタ」を激しく連想させ、無意識にずっと比較しながら見てしまった。それでも大友克洋こだわりの、メカニカルに駆動するマシンの緻密な動きや重量感、英国ロケによるパリ市街地の背景と、どれをとってもその細部にわたるさすがの描き込みは、「天空の城ラピュタ」の上をいっていた。製作期間が9年は伊達じゃないってところ(^^)

 ただねえ、肝心のアニメーションとしての動きはどうだったんだろう?「ラピュタ」にみられる個性的なキャラクターたちが生き生きと動き回る躍動感、周りをぶっ壊しながら走るメカの疾走感。極めつけはジブリがある意味一番こだわっているだろう、空をほんとうに飛んでいるかのような浮遊感。どれをとっても「ラピュタ」に遠く及ばないんじゃないだろうか。なんだかジブリの宣伝みたいになっちゃったけど(^^;)
大友克洋のメカオタクの趣味が強烈に出てしまったというか、キャラクターよりメカの方が好きなのか、メカをいろんなアングルから描きこむことに相当な力が入っており、本作はこれが災いしたかのように盛り上がらないんだなあ、残念ながら。

それから最近のアニメでよくあるんだけど、作品にハクをつけるために芸能人を声優に使ってて、せっかくの作品が台無しにしているのだ。芸能人だって所詮声優は素人であり、悪いけどあまりにも下手すぎて、作品が正しく評価されないんじゃないかと可哀そうになっちゃう。できればプロの声優さんを使ってもう一度作り直して欲しいところだ。これは最近のジブリやいろんなアニメ作品にもいえることなんだけどねえ。ただ一人だけプロ顔負けの上手さで声を吹き替えた人がいた。それはスカーレット役の小西真奈美さんで、上手かったですねえ。キャラクターとしてもスカーレットが一番おいしい役でしたしねえ(^^)なんだか「スチームボーイ」の続編として、スカーレットを主人公にしたOVA作品も企画されているとのこと。

また、本作は全米でも公開中らしいんんだけど、こちらも吹き替えが非常に豪華で、レイ役がアンナ・パキン、祖父のロイド役がパトリック・スチュアートだって。そしてアメリカではこのロイドが出てくると、場内大爆笑らしいです(^^)