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『スタンド・バイ・ミー』
【感想】 ★★★★☆ H17.10.23

スタンド・バイ・ミー あの時のような友達を二度と持つことは出来ない。誰だって・・・
86年の夏、全米で「トップガン」「エイリアン2」をおさえて大ヒットを記録した『スタンド・バイ・ミー』を観る。原作はホラー小説界のキング、スティーブン・キングが自らの少年時代をつづった短編小説の「死体(ザ・ボディ)」。失敗作の多いキング小説の映画化の中で、ロブ・ライナー監督の本作はキング自身も絶賛の作品となった。

 小説家のゴーディはある日ひとつの新聞記事に目を留める。「弁護士クリス・チャンバース刺殺される」。ゴーディは遠い少年時代に想いを馳せる。人口1200人あまりの小さな町で生まれ育った4人の少年、ゴーディ(ウィル・ウィートン)・クリス(リバー・フェニックス)・テディ(コーリー・フェルドマン)・バーン(ジェリー・オコネル)。今日も木の上に作られた秘密の小屋で、タバコをふかせながらトランプに興じているところへ、バーンが思わぬ情報をもたらす。それは今TVでも取上げられている、行方不明の少年の死体の場所を示す情報だった。もし自分達が死体発見者になれば、一躍有名人になれる。4人は意気揚々と行方不明の少年が眠る森へ向かって旅立った・・・。

 なんといっても、この主役の4人の少年達を演じる同世代の少年俳優の、見事にキャラクターと同化したというか、この少年達をモデルにしたかのようなハマリ具合が素晴しい。そしてホントの友達のような仲のよい雰囲気と、演技をまったく感じさせないナチュラルな掛け合い。撮影に入る前に監督のロブ・ライナーが演技指導もかねて合宿をしており、4人は既にホントの友達になっていたようである。そしてやはり4人の少年達の中で、際立った輝きをみせるリバー・フェニックスの存在感が素晴しい。この作品を観るたびに、93年に急死してしまったことが残念でならない。

初めて遠出した時の冒険心を掻き立てられた瞬間、エース(キーファー・サザーランド)のような恐怖に屈した時の挫折感と、その恐怖に立ち向かわなければならなかった瞬間、友達であることが永遠に続くものだと感じた瞬間。少年から大人へと成長する過程で、必ず訪れるそれぞれの瞬間。映画でつづられるこの瞬間は、いつしか自身の少年期に重ねられ、言い得ぬ甘美なノスタルジーを掻き立てられる。観終わった後はしばらく現実がリセットされたような爽やかさが心を満たしてくれた。この作品をもう何回観ただろう。やっぱり、映画っていいねえ〜。

DVDの特典に、新旧のベン・E・キングが登場する「スタンド・バイ・ミー」のビデオクリックがあるんだけど、その中で本作から少し大きくなったリバー・フェニックスがキングの歌う横でギターを演奏する、かなり貴重なシーンが収録されている。マット・デイモンやユアン・マクレガーと同じ世代であり、生きていればどれだけ素晴しい俳優になってたのか・・・。そんなことを考えてまた胸がいっぱいになってしまう。