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『駅馬車』
【感想】 ★★★★★ H21.5.1
 西部劇の不朽の名作、ジョン・フォード監督の『駅馬車』を観る。だいぶ昔に一度TVで見たことがあったが、淀川長治さんの本を読み、その中で絶賛されていた本作を無性にもう一度見たくなる。

 後にフォード一家と呼ばれる、フォードとジョン・ウェインのゴールデンコンビの記念すべき第一作目であり、今もなお西部劇の頂点に君臨する大傑作ですね。登場人物たちを短い時間の中で伝えきる人物描写をはじめ、まったく隙が無い完璧なドラマ構成と、小気味いいほどテンポよく展開されるストーリー。インディアンに襲撃されるシーンでは、全力で走る馬車の横にピタリと付き、見ている自分も同じように走っているような緊張感と疾走感を体感させる。この今見てもまったく見劣りしない迫力のアクションシーンは、その後の映画人にとって、誰もがお手本とする永遠のバイブルとなったんだろうな。

 ジョン・ウェインの復讐を誓うお尋ね者のリンゴーに、腕はいいが酒びたりのドクターやキザな賭博師、心の優しい娼婦に保安官から御車にいたるまで、個性的なキャラクターたちのなんと魅力的なことか。その中でも一番印象に残ったドクターを演じたトーマス・ミッチェルは、見事アカデミーの助演男優賞を受賞している。そして本作で人気を爆発させたジョン・ウェインは西部劇一筋に“スクリーン最後の巨人”へと駆け上っていく。

著作権の消滅により、本作のDVDも500円で発売されており、続けてクラシックな名作をどんどん見てやろうと思ったが、「市民ケーン」や「シェーン」など私が見たかった作品は、軒並み売切れになっていた、残念!