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『リトル・ランボーズ』
【感想】 ★★★☆ H24.5.4
 ”大人になるしかなかった子供と、子供らしさを禁じられた子供。彼らを救ったのは、愛でも、神様でもなく、≪たった一本の映画≫だった―。”
こんなコピーが書かれた、とっても可愛らしい作品『リトル・ランボーズ』を、DVDのバーゲンコーナーで見つけた。子供が主役ということと、パステル調のジャケット(この写真とは違う日本バージョン)がこれまたとっても可愛らしかったので、気になりネットのレビューを参考に購入することに。ただ監督が、私がだめだった「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングスだったので、ちょっと心配だったけど・・・。

 1982年、イギリスの田舎町に住む11歳の少年ウィルは、神様に仕えること以外、テレビも好きな歌も歌えないという厳格なプリスマ同胞教会の家庭に育つ。そんなウィルの楽しみは、聖書に好きなイラストを書き込んでいくこと。その日も学校では、クラス全員でビデオを見るという授業だったが、テレビを禁止されているウィルは、一人廊下へ出ていく。すると隣の教室から、つまみ出されるように先生に廊下へ連れ出される問題児カーターが現れる。ひょんなことからカーターの家へ一緒に行くことになったウィルは、そこで初めて見るテレビで、映画「ランボー」を見てしまう・・・。

 意気投合したウィルとカーターは、カーターのお兄さんのビデオカメラをこっそり持ち出し、「ランボーの息子」を撮りはじめる。映画「ランボー」の衝撃により、抑圧されたものを開放するように野山を駆け回るウィル。その姿を撮影し続けるうちに、いつもしかめっ面だったカーターの顔に自然と浮き上がってくる微笑み。この二人の撮影シーンが無邪気で微笑ましく、併せて本作が俳優としてのデビューとなった、この二人の少年の瑞々しい演技に、いつしか同じように何かに夢中になって、一点の曇りもなく完璧に遊んでいた、遠い子供時代へと思いを馳せていた。
ただ途中、フランスの交換留学生が二人の間に割って入ってくるという、予想外の展開のあたりからど〜も作りが雑になってくるんだなあ。それまで、子供たちが抱えるそれぞれの家庭の問題によって、揺れ動く心情をとっても繊細な演出で描いていたのに、ポップでキラキラと輝いていた作品の空気がガラッと変わってしまった。ラストもとっても良くできていたので、そこだけがかえすがえす残念。まあそれでも最後はしっかり泣かしてもらったんでねえ、許す(^^)予想通り、とっても無邪気で可愛らしい作品だった。

劇中でたびたび「ランボー」のシーンがそのまま使われてるので、著作権とかどうやって解決したのかなあ〜、なんて思ってたら、事前にランボー・・・、いやいやスタローンに監督が熱い手紙を送っていたとのこと。すべての許可証に入った、スタローンのサインを見ることができて感激した、なんて話がDVDの冊子に書かれていた。ただスタローンに敬意を払ってなんて言ってた監督だったが、そのサインが意外に地味だった、なんてこともしっかり書かれてた(^^)

やっぱり子役って、大人になったら自然に消えてしまう、その瞬間にだけ発する輝きをまとってるんだなあ。しかもそれは演技を磨けば磨くほど消えていってしまう儚きもの・・・。
 
 ▼公式サイト:『リトル・ランボーズ』