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『猫が行方不明』
【感想】 ★★★★☆ H17.4.7

猫が行方不明 96年の4月、フランスで公開されるやクチコミで大ヒットとなった、セドリック・クラピッシュ監督の『猫が行方不明』を観る。ある映画雑誌のフランス映画特集で見つけた、とってもチャーミングなコメディです。

 物語はとてもシンプルで、ヴァカンスへ行ってる間に預けておいた猫が行方不明となり、ご近所さんたちとパリの町を探して回るっていうお話。ほんとにシンプルで始まってすぐ心配になったけど、とにかく予告編にもあるのですが、ご近所スター総出演というか、このご近所さんたちが素晴しい!中でも猫を預かってくれるマダム・ルネ役のおばあちゃんの存在感というか演技というかキャラクターが秀逸です。さらに驚いたのは、このおばあちゃんは女優さんでもなく、そのまま実際の自宅で普段どおりに、実生活と演技の区別なく撮影されたんだって。他のおばあちゃんたちも同じで、何が起こるか予想がつかないって感じで撮影されており、どうりで主人公の女優さんの戸惑い振りが真に迫ってた訳だ(笑)。
ちなみにマダム・ルネ役のおばあちゃんは、同じセドリック・クラピッシュ監督の『百貨店大百科』にエキストラとして出演しています。主人公のクロエ役の女優さんも新人でとても瑞々しく演技も自然で、パリの街をひたすら猫探しに歩き回る姿がとっても可愛いです。なぜか変な人ばっかり寄ってくるんだよね〜(笑)


 猫を探しているだけなんだけど、そこから今まで話もしたこともないご近所さんたちと出会い、その輪が広がっていく。「孤独に暮らす現代人でもほんの小さなきっかけで互いに言葉を交わし合えると伝えたかった」という監督の言葉がありました。劇中古い教会が取り壊されてるシーンがあり、同じように失われている人情というか人のやさしさがなんだか懐かしいです。昔はよかったってほどいい時代ではなかったけど、今よりはましかな。

観終わった後はなんだかあったか〜い気持ちになって、たくさんの人たちに観てもらいたいな〜って思わせる映画です。