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『下妻物語』
【感想】 ★★★★ H22.5.7
 若い女性達の間でカルト的な人気を博す乙女派作家の嶽本野ばらの小説「下妻物語」を、CM界の奇才中島哲也が映画化した『下妻物語』を観る。本作はファンも多く、ずっと気にはなっていた作品だったが、ポスターなどの画像を見るたびに、ああ〜、これはマニア向けだなあ、なんてまあ見ることはないだろうと思っていたんだけど、・・・見てしまった(^^;)

 真っ青な空の下に広がる鮮やかな緑を湛えて広がる茨城県下妻の田園風景。その田園のど真ん中を横断する一本道を、ロリータ・ファッションに身を包み颯爽と歩く少女桃子(深田恭子)。ロリータ・ファッションに目覚めた彼女の悩みは、大好きな服を買うためのお金だった。そこで桃子は父親が昔商売をしていた偽ブランド品の服を通販に掛ける。ある日服を購入したいという一通の手紙が届くが、つたない文字や食べ物のシミなどから、小さい女の子からと思い込み、自分の家で会うことにする。約束の日、一台のハデハデのバイクが爆音と共に砂煙を上げてやってきた。そして桃子の目の前に、どう見てもヤンキーにしか見えない特攻服のイチゴ(土屋アンナ)が現われる・・・。

 ロリータ・ファッション大好きで、他にはまったく興味を示さない桃子と、人生を変えてくれたレディースに憧れて、自らもレディースの世界へ飛び込んだイチゴ。見る前はこの強烈なキャラクターが、ただドタバタするだけの映画と思っていたんだけど、どうしてどうして、これはまったく相容れない世界で生きる二人の少女達の、涙あり笑いありの感動の青春映画だった(^^)
自分達の生きる道を迷いなくまっすぐに突き進む姿は、バイクの疾走感と相まってどこまでも清清しく、最初は一方的にイチゴに引っ張られていくだけの桃子だったが、次第に少しずつだが友情を育んでいく姿は可笑しくもキラキラと眩しい。

本作の魅力は、深田恭子と土屋アンナの大熱演に、目まぐるしく登場する印象的な衣装に大きく依存するが、巧みなカット割りや細かく手を加えられた映像の鮮やかさなど、中島監督のセンスがおおいに光る。また過激な表現や映像を、ギリギリのところで見せるさじ加減や、随所に挿入される牛久の大仏像やジャスコで醸し出すユルさなど、巧みな笑いもおおいによろしい!さらにこの二人を取り巻く、篠原涼子や安部サダヲに生瀬勝久など、個性派俳優人陣が作品に花を添える。

ハチャめちゃだけど、とっても楽しくてチャーミングな作品でした。