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『ショーン・オブ・ザ・デッド』
【感想】 ★★★★☆ H18.3.11
 ゾンビ映画にしてコメディ、本国イギリスでも大ヒットとなったホラー・コメディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』を観る。この作品もいろんなサイトでかなり高い評価がされていたので、ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」をやっと観た以外は、ゾンビ映画は気持ち悪くてあまり観てないんだけど、DVDも安かったので観る事に。あまり期待していなかったが、SF・ファンタジー・ホラー映画のアカデミー賞といわれるサターン賞で、第31回ホラー作品賞に輝いているだけあって、近来稀に見る掘り出し物だった。

 電気店の店員として働くショーンは、今日も恋人のリズと行きつけのパブ「ウィンチェスター」に、親友だがだらしないエドと、リズの友人のダイアンとデービットと飲んでいた。いつもエドを連れてくるショーンに、二人きりになれないリズは不満を漏らす。愛想をつかれそうになったショーンは、二人きりの食事を計画するが、忙しさの中で店の予約を忘れてしまう。リズに終わりを告げられたショーンは、今日もエドとマンチェスターでヤケ酒をあおる。そして翌朝、なぜか街にはゾンビが溢れ返っていた。ショーンはエドとともに、愛する恋人と母親の救出に向かう・・・。

 イギリス映画らしいシニカルでブラックな笑いも効いてるし、コメディでありながらホラーの要素もしっかり抑えた、かなり良くできた作品だった。出だしからのグズグズ感には、ちょっと心配したが、庭に女性のゾンビが現れてからは、ラストに向かって笑いも恐怖も増す一方。QUEENの「Don't Stop Me Now」にのせて、ゾンビを餅つきのように殴りつけるシーンでその笑いは頂点を迎える。なんちゅう笑いや!!偶然この曲を使ったCMが今TVでよく流れてて、その度に思い出して笑ってしまう。

ちょっとアメリカのノー天気映画を予感させるが、ロメロの「ゾンビ」を何度も観たと言う監督の言葉通り、逆境に追い込まれた人間が現す本性や勇気、愛する人がゾンビに変わっていく悲しみもしっかりと描かれており、くだらない亜流のゾンビ映画と一線を画す。
ただこの手の映画をあまり見ない私は、後半のスプラッターのシーンが強烈過ぎて、せっかくの楽しかった気分も見終わった後には、そのグチャグチャのシーンばかりが浮かんできてしまった。そこが唯一のマイナスかな。

これだけ面白いのになぜか日本未公開作品らしく、ゾンビ映画でもあることから、私の周りには本作を観た人は一人もいなかった。笑いと恐怖に泣きどころもしっかり詰め込まれた、まさしく最近ではちょっと珍しいくらいの掘り出し物であり、オススメ作品だった。