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『Shall we Dance?』
【感想】 ★★★ H17.11.16

Shall we Dance? 96年に日本で大ヒットし、その年の日本アカデミー賞13部門を受賞した周防正行監督作「Shall we ダンス?」をハリウッドがリメイクした『Shall we Dance?』を観る。ハリウッド版ということで華やかになるということは想像できたけど、オリジナル版がかなりの完成度だったので、観る前からハードルはかなり高かった(笑)。しかも全米公開後5週連続でトップ10内にランクインしたという情報もあり、ますますハードルは上がっていくのだった。

 仕事に家庭にと幸福な生活を送る弁護士のジョン(リチャード・ギア)。何不自由ないはずだったが、心のどこかで不思議なむなしさも感じていた。そんなある日、ジョンは通勤電車から見えるダンス教室の窓際に寂しげにたたずむ女性ポリーナ(ジェニファー・ロペス)に心を奪われる。自分でも意外な衝動に駆られ、電車を飛び降りたジョンは、ダンス教室へと向かった。

 中年男が、社交ダンスによって人生の喜びを再発見するというストーリーはほぼ日本版と同じ。いくつかの場面はオリジナル版とそっくりそのままで、なんだか嬉しくなる。そしてハリウッドらしくダンスシーンが華やかであり、日本版に有ったなにか現実感の無いみょ〜な独特の雰囲気は無く、やはりどれもスマートになってる。そして家族愛・夫婦愛大好きのアメリカらしく、妻の存在が日本版に比べて大きく、二人の絡みのシーンがかなり増えている。
しかし一番違っていたのは、主人公が社交ダンスを始めるきっかけと、そこから得たもの。日本版では役所広司扮する中年サラリーマンは、あくまでも平凡であり、ただ会社と家庭を往復する生活に虚しさを感じ、社交ダンスに夢中になることで生きがいを感じていく、人生の再生を描いたものだった。一方ハリウッド版は何不自由ない家庭で、社会的地位もある弁護士が、なにか刺激を求め下心もミエミエで社交ダンスを始める。そして幸せすぎて気がつかなかったが、今の何気ない生活がいかに幸福なことであり、自分の生きがいは妻が幸せでいることということを改めて知り、それが社交ダンスで知る人生の喜びだった。あくまでもスマートでカッコいいリチャード・ギアより、どこか不器用で奥ゆかしい役所広治に私は共感を覚える。まあこれが日本人とアメリカ人の違いそのままなんでしょうけどね(笑)それでもオリジナルを越えたシーンもあり、あのエスカレーターでバラの花を一輪持って上がってきたリチャード・ギアは、かなりキザだったが、そのあとに夫婦で踊るシーンはジーンときた。

キャスティングについては、やはりヒロインのジェニロペは草刈民代の優雅な立ち居振る舞いにはかなわなかったが、草刈民代の棒読みの台詞回しとお色気では圧倒してたね(笑)竹中直人はちょっと別格だから置いといて、渡辺えり子のダンス大好きおばさん役は、リサ・アン・ウオルターが意外によくて、コンテストでのワルツでは別人のように輝いてた。渡辺エリ子は凄かったからねえ(笑)

人生の生きがいとは、やはり何か夢中になれるものを見つけることなんだんなあ。でも私の中に社交ダンスは・・・ないなあ〜。