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『いつか晴れた日に』
【感想】 ★★★☆ H21.2.18

いつか晴れた日に 1795年に発表されたジェーン・オースティンの「いつか晴れた日に 分別と多感」の映画化にあたって、エマ・トンプソンが脚本に加え自らも主演し、見事その年のアカデミー脚色賞を受賞した『いつか晴れた日に』を観る。2/23に行われる第81回アカデミー賞授賞式を自分の中で盛り上げるために、何か過去の受賞作品をと探していたところ、この作品を発見。主要キャストにイギリス出身の演技派ばかりを集めたこの話題作を、注目してはいたんだけどなぜか見る機会が無く、TSUTAYAの宅配レンタルでやっと見ることに。

 19世紀初頭の、イングランド南西部のサセックス州。私園ノーランド・パークの当主ヘンリー・ダッシュウッドは、臨終の床で先妻との間に生まれた長男ジョンに、代々そうしてきたようにそのすべての財産を長男に相続させることを告げる。だが、現在の妻とその3人の娘達に何も残してやれないことを心配に思い、最後にその世話をジョンに託して息を引き取る。ジョンはなんとか父の願いを叶えようとするが、強欲な妻に逆らえず、ダッシュウッド夫人と娘達は追い立てられるように、住み慣れた屋敷から出て行くことに・・・。

 「神は天にいまし、すべて世は事もなし」
見終わった後、すぐに「赤毛のアン」のラストのこの言葉が浮かんできた。この静かに染み渡ってくる幸せ感、しばらく何にも考えずに浸っていたかった(^^)。そして随所に映し出される深く鮮やかな緑の風景は、見ているだけで湿った空気は肺を満たし、爽やかな風は頬を吹き抜けていく、そんな気分に。また、この時代の紳士淑女のつつましい振る舞いや品格は新鮮であり、なによりささやかな喜びをかみしめる人たちのうぶな姿が愛しい。終始良いものを見ているという実感を感じる。意外だったのはこの時代の貴族を扱った映画によくあるような、騎士道とか宗教的なものが一切出てこず、この一種圧迫されるものが無いことが、この作品をより心地いいものにしてたように思う。

イギリス出身の有名どころが集結したこのキャスティングは、見ごたえがあり、どの俳優からも聡明さと品位が漂い、作品の空気にピタリとはまっていたんだけど、ちょっとだけ不満が残った。長女のエリノアを演じたエマ・トンプソンの演技は、戸惑いの表情やラストで見せる感情の昂ぶりなど、確かに素晴らしかったけど、どう見てもケイト・ウィンスレットと姉妹の設定というのは年齢的に無理があり、最初親子と思うほどだった。ヒュー・グラントとのカップルもかなりの無理があり、もっと若い女優さんをキャスティングしてほしかったな。あとこの作品で一番おいしかったであろうブランドン大佐演じるアラン・リックマンだけど、どうも顔が悪役であり、なによりケイトを必死で抱き上げるシーンでの、非力さと背の低さは、とても軍人には見えなかった。まあ外見で判断しちゃあいけないってことだけど、一途に思い続ける姿はかなりの高感度アップだったのは確かですね。それぞれの人の好みなんだろうけど、私はそこがちょっと惜しかったかな。

レンタルで見たんだけど、その幸せ感は手元において何度も見たくなる作品だった。今度は紅茶でも飲みながら(^^)