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『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』
【感想】 ★★★ H22.8.20
 今もなお熱狂的に支持され、東宝特撮映画No.1の呼び声も高い『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』を観る。このジャケット写真からも分かるように、とても子供向けの怪獣映画とは程遠いグロテスクさに、ただならぬものを感じる(^^;)

 とにかくこのガイラという、人を襲って食べるという怪獣のインパクトがハンパじゃない。オープニングから漁師を食べるために必死に夜の海を泳ぐシーンに背筋が寒くなり、ただ遠くの海からぬ〜っと現われたり、森の霧の中にうっすらと浮かぶあがる場面など、おおっと唸ってしまうほどの恐怖演出は、当時としては衝撃的だったんじゃないかな。極めつけは噛み砕いた女性の服を吐き出すという、とても子供には見せられない生々しいシーン。 この映画は海外でも人気が高く、特典映像に英語バージョンのシーンがいくつか収録されているんだけど、この食べた後にペっと吐き出すシーンに、なんと日本版にはない、地面にぼろぼろになった服がビシャッと落ちてくるシーンが入ってた。これは後から付けたというより、日本ではあまりにも残酷なのでカットされたんじゃないかなあ。まったく不快指数100%だね(^^;)

偶然なんだけど、つい先日見た「ミスト」の監督フランク・ダラボンが、特典映像で映画を作るために、この「サンダ対ガイラ」も見たなんて言ってたのを思い出した。よく見るとオープニングで現われる大ダコの触手が襲ってくるシーンが、「ミスト」の倉庫のシャッターを開けた時に入ってきた触手のシーンを激しく連想させるのだ。勝手にあのシーンはこの映画へのオマージュが込められていたんだと確信する。さらにビル街の中で、自衛隊がガイラを攻撃している真っ只中を、主人公達が地下鉄に逃げ込む場面は、「クローバーフィールド」のJ・J・エイブラムスも見たなあ、なんて思ってしまった(^^)

ただねえ、後半にもう一体のフランケンシュタインのサンダが現われるんだけど、ここからは2体のフランケンシュタインが、ただひたすら取っ組み合いをしてるだけというシーンばかりで、前半の重々しい雰囲気が徐々に失速してしまい、退屈になってくるんだよなあ。怪獣映画で闘ってるところがあまり面白くないというのも珍しいんだけど。ラストにいたっては、あまりにも唐突でしばし唖然としてしまった。

それでもやはり古い映画なので、突っ込みどころが満載であり、違う意味で見ていて楽しい。なかでもフランケンシュタインに詳しい博士ということで登場するスチュワート博士を演じる外人さんが、喋る時いちいち片腕を軽くまげて宙に浮かせた状態でかっこつけてたり、顔を何かにつけさりげなく触ってたりと、いちいち気取ってて、みょ〜にイラっとさせてくれる(^^)
そんなことも含め古い映画だけど、いろんな魅力が満載された作品だった。