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『レッド・サン』
【感想】 ★★☆ H21.5.5
 チャールズ・ブロンソンにアラン・ドロン、そして我らが三船敏郎が奇跡の競演を果たした、とんでも西部劇『レッド・サン』を観る。遠い昔の子供時代に見た記憶があり、いつかはもう一度見たいと思ってた作品だった。そこへタイミングよく“ひかりテレビ”でやることを発見し録画することに。地上波ではなかなかやらないような作品を、突然やってくれる“ひかりテレビ”、やっぱいいわあ(^^)

 途中の駅で乗り込んできたお尋ね者リンク(チャールズ・ブロンソン)に、巧妙に客車に紛れ込んでいた相棒のゴーシュ(アラン・ドロン)達は、瞬く間に列車を制圧する。ダイナマイトで爆破された金庫から次々と運び出される金貨の山。ただこの列車には、日本からの特使として偶然乗り合わせた侍達がいた。ゴーシュにより帝から大統領へ献上するはずだった宝刀を奪われた黒田重兵衛(三船敏郎)は、同じくゴーシュの裏切りにあい殺されそうになったリンクとともに、それぞれ宝刀と金貨を取り戻すため後を追うことに・・・。

 よくも西部劇の世界に、拳銃をものともせずに日本刀で立ち向かう侍を飛びこませて、映画を作ろうなんてことを発想し、まさか本当に作ってしまうとは。ただそれだけで驚きと敬意をささげたい。おまけに当時すでに大スターとなっていた、C・ブロンソン、A・ドロン、三船敏郎を共演させるという、神をも恐れぬキャスティングをしてみせる。まさしく奇跡のような作品なのだ。そしてそれは世界を代表する、西部劇の金字塔と呼ばれるような作品に・・・、なるはずだった(^^;)
とにかく間延びして、全然面白くないのだ。ガンマンと侍の友情も描ききれてないし、それぞれの人物の掘り下げもないので、見ていてキャラクターに愛着がわかないんだよなあ。どうやったらこんなに面白くなくできるのだろうかと感心するが、すべて監督のテレンス・ヤングの力不足と断罪させてもらう。とにかくディテールにしろアクションにしろ、すべてが薄っぺらいのだ。これをサム・ペキンパーにでも監督してもらってたら、とてつもなく男臭く、熱い映画になっただろうになあ・・・残念。

それでも見どころもいくつかはある。峰不二子のように男を翻弄するゴーシュの女の蓮っ葉ぶり。この作品で一番イキイキしていたキャラクターだった。さらに、目にもとまらぬ速さで蚊を両断する三船敏郎の刀さばき。侍としての立ち居振る舞いも絶品だ。そしてそして、私が思わず目を見張ったシーンが、あのアラン・ドロンのスタントシーンだ。物語も終盤の教会でのシーン。リンクと黒田を天井から待ち伏せていたゴーシュ。鮮やかにドロンがそこから飛び降りるシーンなんだけど、5mほどはあろう高さから飛び降りたはいいが、やはり無理があったのだろう。着地の衝撃から、思わず前のめりにバランスを崩し、あわてて必死に態勢を立て直すドロン。いやあ〜、あれはちょっと高すぎでしょうと、ドロンに同情してしまった。

まあ最初から話がとんでもないんだからしょうがないが、最初っから最後までなんだか大スター3人がうまくシンクロしない、ちぐはぐした作品だった。ただ、今この作品をリメイクしたら、それぞれ誰をキャスティングしようかということを考えると、それだけでワクワクさせてくれることは確かだ(^^)