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『点子ちゃんとアントン』
【感想】 ★★★☆ H23.2.25
 「飛ぶ教室」「ふたりのロッテ」などで世界的に有名なドイツの児童文学作家エーリヒ・ケストナーの、同名小説を映画化した『点子ちゃんとアントン』を観る。まずドイツなのになんで点子(Punktchen)なのって思ったが、調べてみると点(Punkt)のように小さく愛らしい(chen)子、って感じの意味らしい。それにしてもドイツの女の子を漢字で呼んでるって、なんか変な感じだよなあ(^^;)

 母子家庭のアントンは、病気で寝込んでいるお母さんのために夜遅くまで働いているので、授業中に居眠りをしてしまい、先生に注意される。そんなアントンをいつも心配している友達の点子ちゃんの家は、お父さんは有名な心臓外科医でお金持ち。ただお母さんは恵まれない子供達のために、世界中を飛び回っているので家を空けることが多く、いつもお母さんと一緒にいるアントンをうらやましく思っている。それでも点子ちゃんは、どうにかしてアントンを助けられないか、考えていたが・・・。

 友情を育みながらなんとか困難を乗り越えようと、がんばっている子供達に向けられるケストナーの暖かいまなざしを感じながら、見ている自分もその優しさに包まれるように暖かい気持ちになっていく。そして自分のことばかりでなく、周りの大切な誰かのために注がれる無償の愛情の尊さに、心が洗われていく。原作を読んだ事はないので分からないが、たぶん現代風にアレンジされているんだろうけど、ケストナーのそんな子供達への愛情は,原作に忠実に再現されているのだろうと確信する。「飛ぶ教室」でも感じたが、子供達は大人達が思う以上に、自分達の境遇を認識し、両親に対しても友達に対しても、まじりけのない気持ちで接しているんだろうなあと、改めて感じてしまった。大人になったらそんなことはすっかり忘れちゃってるんだけど。本作も見終わった後は、無性に周りの誰かを愛しくなっている、そんな気持ちさせてくれる素敵な作品だった。

ただこのDVDに入ってたメイキングは、見なきゃよかったと後悔している。ヨーロッパの子供が主役の映画って、子役がすごく自然で生き生きとした表情をするんだけど、本作は子役の表情や演技がど〜もぎこちないのだ。ただへたっぴなのかなあ〜なんて思ってたけど、このメイキングでカロリーヌ監督が子供達にすごく厳しく、そして細かいところまで演技指導して、何度も撮り直したりしているシーンがあり、その原因がなんとなく伝わってきた。例えばアントン役の男の子が、お手伝いのおばあちゃんとぶつかって、頭からジュースを被ってしまうっていうシーンがあるんだけど、それを何度も何度もやり直して、その度にジュースまみれになり、見ていて可哀そうだった。子供が思い通りに演じることばかりを求めて、子供達の一番キリキラした表情が撮れてなかったんじゃないか、なんて評論家気取りで思ってしまった。まああくまでも私の勝手な想像で、ホントにヘタッピだったかもしれないけどね(^^)