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『カラー・オブ・ハート』
【感想】 ★★☆ H26・8・11
 トビー・マグワイアとリース・ウィザースプーンが共演し、全米No.1のヒットとなったファンタジー作品『カラー・オブ・ハート』を観る。

デイビッドはモノクロのTVホームドラマ「プレザントヴィル」にはまっているオタクな高校生。ある日男にしか興味のない奔放な姉ジェニファーとTVのチャンネル争いをしてる最中に、リモコンを壊してします。そこへ突然現れたTVの修理屋と名乗る男に渡されたリモコンのスイッチを入れると、二人はTV画面に吸い込まれてしまう。そこはモノクロの世界、あのプレザントヴィルの世界だった。

 白黒の世界の住人達が、素直な自分の気持ちを持った時に、世界は鮮やかな色彩で色づいていく。パートカラーのように、一つ、また一つと色が開花していく世界は、美しく感動的だ。
ただ私はどうもしっくりこない。まさしくバラ色の人生のごとくまずバラの花が白黒から赤に色づく場面の美しさは素晴らしかったんだけど、このドラマの場合、そのきっかけがほぼ異性への欲望が要因なんだよねえ。妹のつまらない好奇心から蔓延していく欲望は、瞬く間に若者の間で広がり、そこらじゅうでいちゃいちゃ。お母さんにいたっては、別の男性のところへ行っちゃうし。未成熟な住人達が、急に欲望だけ与えられれば当然のごとく、それぞれが快楽を求めて、勝手にやりたいことをやっちゃうカオスな世界に変貌するのは自明の理。そして主人公は、やりちらかしたまま、何かを悟ったように現世へ戻っていく。考えすぎなんだろうけど、なんかしっくりこない。私が唯一共感できた人物は、大切な人を失って溢れる寂しさと哀しみによって目覚めたウィリアム・H・メイシー演じるお父さんだけだった。だいたい自分たちが最初に抱く素直な気持ちが性欲なんて、なんだか生々しすぎて夢がないよ。私は観ているうちに白黒の世界の方が、懐かしく輝いて見えてしまった。
 私は時々たくさんの人がいい評価をしているにもかかわらず、全く共感できない作品に時々出会う。例えば「スクール・オブ・ロック」や最近では「レ・ミゼラブル」とか。自分のセンスが悪いのかもしれないが、まあこれだけはどうしようもない。本作は見事にそのパターンである。とにかくここに登場する人物のほとんどがなんだか気持ち悪く、共感できなかった。

 キャストについては、主演の二人は22とか23歳で出演してるんだけど、当時はどちらも観たことない俳優さんで大抜擢だったんだろうけど、見事に一流の俳優さんになりましたね。ただ今と比べても演技が全然変わってないのと、年齢の割に初々しさが二人そろってほとんどないってところががちょっと笑えます。リース・ウィザースプーンのビッチ感、筋金入りです。あとジェフ・ダニエルとか「ワイルド・スピード」のポール・ウォーカーが出てたり、結構揃ってます。監督はあのトム・ハンクス主演の「ビック」の脚本を手がけたゲイリー・ロス。「ビッグ」で思い出したが、素晴らしい作品なんだけど、唯一大人になった主人公が、大人の女性とエッチしちゃうというところだけ気持ち悪かったなあ(^^;)