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『プラネット・テラー』
【感想】 ★★★ H23.5.14

 かつて“グラインド・ハウス”で上映されていた、B級作品へのオマージュとして盟友タランティーノと製作された「グラインド・ハウス」2本立ての中の1本、ロバート・ロドリゲス監督作『プレネット・テラー』を観る。先日「デス・プルーフ」と「マチェーテ」を見てしまったので、残りのこの一本も見るしかないでしょう(^^)

 テキサス州オースティンにある田舎町で、軍事基地に貯蔵されていた細菌兵器がばら撒かれた。次々と細菌に感染していく住人達。ゾンビと化した感染者達は、周りの人間達を手当たり次第に襲っていく。生き残ったものたちは、協力して町を脱出することにするが、その中に、ゾンビによって食いちぎられ片足にマシンガンを装着した、ストリッパーのチェリーの姿があった・・・。

 まずB級映画の、オープニングから安っぽいシチュエーションながらも、見るものをワクワクさせてくれる展開がいい。本作もロドリゲス印よろしくエロ・グロそしてヴァイオレンスがてんこ盛りにされ、誰もが内に秘めているいかがわしい何かが刺激されていく。思わずオエ〜ってなりそうなシーンの数々も、頭では否定してるんだけど、「もうめちゃくちゃ」なんて苦笑いしながらも楽しんで見てしまう始末。ここまできたら、どうにでもしちゃってくださいって気分にさせられる(^^;)
ただねえ〜、顔にできた大きな膿を指でつぶし、相手の顔に塗りつけるとか、これでもかの悪趣味なシーンの連続には、何度も見るのを止めようかと思ったんだけど、結局最後まで楽しんで見てしまった。それは悲しいかな自分の中にもあるこの悪趣味な欲望を、痛烈に自覚させられる映画なのである(^^;)
登場人物たちも、すべてどこか一本ネジが飛んだようなおかしいな連中ばかりで、なぜこんな状況になったのかと悩んだり、怖がったりすることもなく、血しぶきを浴びながらもノープレブレムで闘っていく。深みはないが単純明快で、どこか憎めない人物設定もまた楽しい。なかでもチェーリを守って闘う恋人のレイの、突然発揮する飛びぬけた戦闘力と、もはや伝説と化している名前に、とてつもない素性が隠されていると匂わせる、思わせぶりな設定が笑わせる。そしてやっぱり一番愛すべきキャラは、最後までバーベキューのレシピについて語り合う兄弟だねえ〜(^^)

ロバート・ロドリゲス監督の、ただ「自分が面白いと思ったものを撮ってるだけだぜ!」っていう、潔いスタンスに、見る方も「つべこべ言わずに楽しまなきゃ野暮ってモンだぜ!」みたいな、一種ハイな気分させられる、これまたとんでもない作品だった。ただこんなに楽しんだんだけど、もう一度見ようって思えないのはなぜ?