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『ペネロピ』
【感想】 ★★★★ H21.5.6
ペネロピ リース・ウィザースプーン製作で話題となったファンタジー・ラブストーリー『ペネロピ』を観る。まず豚の鼻と耳を持ったヒロインが真実の愛を掴むっていう、「美女と野獣」の逆バージョンみたいなイメージなんだけど、ちょっと純愛コテコテで私にはきついかなと思った。ただジャケットの写真からそんなハッピーエンドを予感させない暗さと、アートっぽいデザインが気に入り見ることに。

 ウィルハーン家の先祖にかけられた魔女の呪いにより、ペネロピは鼻と耳が豚になって生まれる。魔女が叫ぶ「その呪いを解くにはお前達の仲間(名家)が、娘に永遠の愛を誓うこと」と。母ジェシカはペネロピを大衆の目から守るため、死んだことにし、家から外に一歩も出さないようにして育てていく。やがてペネロピが成長し年頃になると、ジェシカは呪いを解くために名家の子息達と見合いをさせるが、彼女の素顔を見ると誰もが逃げ出してしまった。そんなある日スクープを狙っていた記者に雇われて、マックスという青年が見合いにやってくる・・・。

 予告編も写真も事前に何も見ていなかったので、ペネロピの顔が画面に現れたとき、これはちょっとやりすぎじゃないか?と思わず引いてしまう。それが物語が進むにつれてどんどん可愛くなっていくから不思議。見る前は、どうせ愛の力によってペネロピの呪いが解き放たれるんだよね、みたいに思ってた。でもここがこの作品が他と違うところなんだけど、その呪いを解くのは、恋人でもないしましてや親でもない。そうペネロピ自身が自分の力で呪いを解いてしまうのだ。
映画の中でこの豚の鼻はコンプレックスの象徴として描かれ、自信を持てずにせっかくの人生を臆病に生きている人たちに、ありのままの自分を受け入れ、一歩前に進んでみようよというメッセージを、この作品は強く投げかけてくる。昨日見た見慣れた景色が、明日になればキラキラと輝きだしそうな、そんな気持ちにさせてくれる作品だった。そう、自分の人生、ど〜んとど真ん中歩いていこうよ!

グロテスクでもなくキュートでもない絶妙なバランスの付け豚鼻といい、ペネロピの部屋のアーティスティックなところといい、美術さんがいい仕事してます。そして豚鼻を付けてなおぴったりの丸顔がキュートなクリスティーナ・リッチと、くたびれ加減と優しさを絶妙に醸し出すジェームズ・マカヴォイの二人も、見ていて新鮮で素直に祝福したくなるカップルになっていた。クリスティーナ・リッチはこの映画のプロモーションで来日しており、この時の映像がDVDの特典の中に収録されているんだけど、映画とまったく違う別人のような美しさにビックリしてしまった。あの「アダムス・ファミリー」の女の子がここまで美しくなるとは。あまりの美しさに、この作品のメッセージがちょっと薄くなっていくのを感じてしまった(笑)