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『ムーラン・ルージュ』
【感想】 ★★★★☆ H23.6.3
 ユアン・マクレガーとニコール・キッドマンを主演にむかえ、「ロミオとジュリエット」のバズ・ラーマン監督が最新の映像技術を駆使して作り上げた傑作ミュージカル『ムーラン・ルージュ 』を観る。その革新的とも思える新しいミュージカルは、アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を受賞した。

 1899年のパリ、ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」では夜毎に狂喜乱舞の宴が繰り広げらていた。中でも“輝くダイヤモンド”と呼ばれた高級娼婦のサティーン(ニコール・キッドマン)の美しさは、男たちをみな虜にした。女優を夢見ていたサティーンは、ある日勘違いから一夜を共にすることになった、作家志望の青年クリスチャン(ユアン・マクレガー)の愛の歌に触れ、心を奪われてしまう・・・。

 まず今までのミュージカル作品にはない、赤と黒を基調としたきらびやかでいて、クラシカルと最新CG技術を融合させた、センス溢れるビジュアルシーンに目を奪われる。特に鮮やかな赤をはじめ、画面から溢れ出す色彩の洪水は、見るものを夢の世界へと誘う。加えて豪華絢爛な舞台や衣装にも負けない、ユアン・マクレガーとニコール・キッドマンの、驚きの上手さで伸びやかに歌い上げる、見事な歌に酔いしれる。賑やかな歌や踊りの合間に入る二人の歌は、動と静を巧みに組み合わせることで、より聞き入ってしまう演出もなされていたため、どの歌も感動的だった。
ミュージカルでよくある、唐突に歌いだす不自然さもなく、エルトン・ジョンやマドンナなど誰もが聞き慣れたポップスを選曲することで、何の違和感もなく、まるで歌の魔法にかけられたように、ただ二人の歌に聞き入っていた。新曲の「 Come What May 」まで、結局総ての曲に感情移入してしまい、物語の中にどんどん引き込まれ、気がつけば涙が流れていた。「Your Song」など改めて歌詞の素晴らしさと、感情をダイレクトに振るわせる歌の力を、素直に感じさせられたとっても素敵な作品だった。

ニコール・キッドマンという女優さん、私はどういう訳か美しさを感じたことがなかったんだけど、本作の彼女の美しさはバズ・ラーマンの力なのか、歌の力なのか、まさしく輝くダイヤモンドのように素晴らしかった。そして同年に製作された「アザーズ」でも見違えるような美しさを披露してくれたんだけど、その美しさの秘密がつい先日偶然見たTVで解明された。その番組は超セレブたちのゴシップを特集したものだったんだけど、なんとその中にトム・クルーズが登場し、彼が恐ろしいほど妻を束縛する男として紹介されていた。そしてもうお分かりだと思うけど、本作はなんとそんなトム・クルーズと離婚後すぐに出演した作品だったんだよね。美しさの秘密はどうやらここら辺にあったんじゃないかなあ。それまで険しい顔のイメージしかなかった彼女の、なんと穏やかなことか。このトムとの離婚を機に、女優として大きくステップアップしたことは言うまでもない(^^)