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『ミッドナイト・ラン』
【感想】 ★★★★☆ H17.9.6
ミッドナイト・ラン 名優ロバート・デ・ニローがそれまでのイメージとまったく異なるコミカルな演技と、体当たりのアクションで演じた『ミッドナイト・ラン』を観る。しかめっ面で貫禄たっぷりに演じるデニーロより、軽いノリで楽しそうに演じてる本作のデニーロの方がとってもチャーミングで、彼の出演作の中でも一番好きな作品なのだ。

 元シカゴ警察官のジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ
)は、今はしがない賞金稼ぎ。今日も危険を冒しながらも、同業のマービン(ジョン・アシュトン)の横槍をかわし犯人を取り押さえる。仕事料を受け取りに保釈金融業のエディの元にやって来たジャックは、エディから新しい仕事を依頼される。今度の依頼は、ギャングの金1,500万ドルを横領し、なんと慈善事業に寄付したという会計士ジョナサン・マデューカス(通称デューク)(チャールズ・グローディン)をここLAへ連れてくることだった。なんなくNYでデュークを捕まえたジャックだったが、ずっとデュークを追っていたギャングの一味とFBIとの争奪戦に巻き込まれていく・・・。

 アクションも自らこなしたというロバート・デ・ニーロが、それまでにみせた事のない明るい表情とユーモアにあふれた演技で、当時話題になったのを思い出す。もう一度言うが本作のデ・ニーロは最高にいい!不器用に生きた男の哀愁を漂わせながら、それでも自分らしく生きようとするジャックを見事に演じている。今でこそボディーガードを引き連れて、レストランで並んでる列の前に平気で割り込んでひんしゅくを買うような、セレブ風を吹かせまくっているデ・ニーロと大違い(爆)。「タクシードライバー」の時のような精悍な顔でお茶目するので大笑いです。そして他の出演者もかなり個性的なキャラクターを生き生きと演じ、どれも憎めないキャラクターになっている。中でもデ・ニーロと絶妙の掛け合いを見せたチャールズ・グローディンは、とぼけた味わいも素晴しいが、そののしたたかさは、デ・ニーロが喋ってる横で変な顔をしてみせたり、全然関係ないところで勝手に細かい演技をしているという始末(笑)。ただその後の彼の作品があまりパッとしないのは、寂しいところである。

NYからLAまで列車やバス、自動車などを乗り継いで行くアメリカ大陸横断の逃避行ロード・ムービーであり、アクションもあり男の友情もありと見所も盛りだくさんであり、それらを最高のラストへと終結させるストーリーと、どれをとっても最高の作品なのだ。

出演作を選ぶにあたって細心の注意を払うとことで知られるデ・ニーロが、再びコミカルな映画に出演するのはこの作品から10年以上後になる。こんなデ・ニーロ、もっと観たかったなあ。