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『マンハッタン』
【感想】 ★★★★ H17.12.17

マンハッタン 都会派コメディを代表する監督ウディ・アレンの代表作『マンハッタン』を観る。今や彼の作品に出ることがスターの証しというか、一種の俳優としてのステータスのように出演を熱望する俳優達で溢れている。熱狂的信者も多い中、私はウディの作品はなぜか縁が無くて、しっかり観たのは『スコーピオンの恋まじない』のみ。あの作品だけ観たらどうしてそんなに人気があるのか分からなかったけど、本作を観てなんとなく彼の作品が、なぜにこんなに人気があるのか分かったような気がした。

 バラエティー番組のTVライターとして売れっ子だったアイザック(ウディ・アレン)は42歳。大好きなニューヨークを舞台とした本を書くべく日々奮闘中。ある日TV番組の笑いの質に憤慨し衝動的に仕事を止めてしまう。そして私生活では2回の離婚を経て現在17歳の少女トレイシー(マリエル・ヘミングウェイ)と付き合っていたが、近々二人目の妻が、自分との夫婦生活の暴露本を出版するという話が耳に入ってくる。さらに親友のエール(マイケル・マーフィー)の不倫相手のメリー(ダイアン・レイン)に出会ったことで恋をしてしまい、ますます悩みは深まっていく・・・。

 監督と併せて脚本や主演も兼ねるウディの笑いは、シニカルであり時にそのみすぼらしい容姿から自虐的なネタも多い。『スコーピオンの・・・』ではその笑いはハズシまくってたけど、本作はまさに都会派ウディ・アレンの真骨頂ともいえる作品だった。ワンカットで延々と喋り続けるウディとダイアン・キートンとの、インテリジェンスに溢れウィットに富んだ会話は、まさに大人気分であり、観ているだけで自分のセンスが磨かれていくような錯覚に陥る。なんという心地よさ(うっとり・・・)。これは人気があるわけだ。ただ、残念なことにロマンチックを想わせるシーンがいくつかあるんだけど、ウディからは申し訳ないが程遠いものがあって・・・ごめんなさい!っていうか、あなた自分とそっくりのキャラクターで自分の願望をストレートに映画にし過ぎでしょう(爆)

それからほとんどが会話のシーンで、最初から最後まで必死に字幕を追っていかなければならない。当たり前だが、この映画を字幕なしで観れるアメリカ人や英語の得意な人たちがこれほど羨ましく思った映画はないなあ(笑)

モノクロで映し出されるニューヨークのさまざまな表情と景色が美しく、ニューヨークを愛してやまないウディの想いが溢れた素敵な作品でした。