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『リトル・ミス・サンシャイン』
【感想】 ★★★★ H22.5.21
 全米が“負け組み家族”に大喝采!
第79回のアカデミー賞で作品賞をはじめ5部門にノミネートされ、助演男優賞と脚本賞を受賞した『リトル・ミス・サンシャイン』を観る。もともとは「40歳の童貞男」で人気が出たスティーブ・カレルの新作ということで注目されていたらしいんだけど、サンダンス映画祭でプレミヤ上映されるや各メディアで絶賛され大ヒットに。予告編もすっごくよかったんだよねえ。

 ミスコンの授賞式のシーンを、繰り返し熱い視線で見つめる少女オリーブ。美少女コンテストのクイーンを夢見るオリーブのもとに、以前参加し2位となった全米美少女コンテスト地区予選の、優勝者辞退による繰り上げ優勝という電話が入ってくる。ばらばらだったフーヴァー一家は、偶然自殺未遂で家に保護されていた伯父も一緒に、一路アリゾナから本選が開催されるカリフォルニアの会場へ、黄色のおんぼろミニバスで走り出した・・・。

 いつの頃からか普通に使われるようになった「負け組み」という言葉。この作品は勝利至上主義を、そして人に評価されることのばかばかしさを、痛烈に笑い飛ばす。
コンテストを前に負けることを心配するオリーブに、おじいちゃんが優しく語り掛ける。
「負け組みの本当の意味を知っているか。それは負けるのが怖くてチャレンジしない奴らのことだ」
勝とうが負けようがそんなことはどうでもいい。一生懸命やったということに意味があるんだよって。

何をやってもうまくいかない家族が、ジタバタしながらも懸命に生きる姿に共感し、いつしかまるでフーヴァー一家の一員になったように、笑ったり悲しんだりしているという心地よい一体感。家族の再生を描いているというレビューもあるが、この家族はみんなが別の方向を向いてるようなバラバラの状態なんだけど、反発しながらも心の奥にはお互いを想い合ってるという家族愛を、最初からずっと感じさせる。それもこれが家族というもんだよって見せ付けるんじゃなく、さりげなく感じさせてくれるところが、・・・好きだなあ。なにより終始太陽の暖かい日差しが、この家族に降り注いでいるような、作品全体を包み込んでいる明るい空気感がいいんだよねえ。
そしてラストのミスコン会場のステージで、その家族愛が一気に爆発する感動のシーン。すっごく可笑しくて笑ってるんだけど、気がつくと一緒にポロポロと涙が溢れていた。こんなにも心を満たしてくれる映画に出会えたことが嬉しい。超オススメのハートフル・ムービーなのだ。

あと余談なんだけど、この美少女コンテストのために集められた、たぶん本物のコンテスト常連であろう少女達の、子供らしからぬ表情や仕草は強烈だったなあ(^^;)