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『屋根裏部屋のマリアたち』
【感想】 ★★★☆ H26.10.26

 “ご主人様、“幸せ”を教えて差し上げます”
 本国フランスで220万人を超える観客動員を記録した『屋根裏部屋のマリアたち』を観る。毎回そうだが、フランス映画って大ヒットを記録しても、なかなか日本では話題にならないんだよねえ。私も全然知らなかった作品だったけど、他のサイトでのレビュー評価も高く、さらに予告編がとっても楽しそうだったので観ることに。

 1960年代のパリ、代々続く株式仲買業によって財をなしたジャン=ルイの、たった一つの願いは朝食で食べるゆで卵のゆで具合が、ちょうどいい状態で出てくること。古くから家族同然のように仕えていたメイドとケンカが絶えない妻は、部屋の内装を巡りとうとう彼女を首にしてしまう。友達からメイドにはスペイン人がいいということで、スペイン人がミサで集まる教会で、マリアという女性をスカウトする。妻の横暴さに不満があったジャン=ルイだったが、完璧な半熟卵を作ったマリアをいっぺんに気に入ってしまう。そして次第にマリアに好意を募らせるジャン=ルイだったが・・・。

 フランスではこういう作品がヒットするんだねえ。というのも、主人公演じるファブリス・ルキーニの別の作品で、「バルニーのちょっとした心配事」も観たことがあるんだけど、全般的にフランスの妻帯者のおじさんたちの、恋への執着心というか、そういう熟年の恋ばなを描いた作品が実に多いのだ。一括りにしてしまうのも申し訳ないが、やはりフランス人って、欲望に素直なお国柄なんでしょうね。しかも何度も妻とよりを戻せるチャンスはあったように思うんだけど、そういう展開にしたがらないのがちょっと意外だったかな。

ラストのそれでいいのか的なことも含め、しみじみとした温もりを期待していたが、意外に主人公が能天気で、6階の屋根裏に住まうメイドたちの、明るさと生き生きとした力強さばかりが印象に残った作品だった。ただ、自由に生きるということ、人生を楽しむということを、幾つになってもやり直せることが出来るんだよっていうメッセージは、単純に楽しい気分にさせてくれる。ちょっと現実逃避入っちゃってるけどね。自分の周りをほんの少し見直すだけで、小さな幸せが転がっていそうな予感を感じさせてくれる、可愛らしい作品でした。