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『奇人たちの晩餐会』
【感想】 ★★★☆ H26.6.8

 “俺の見つけたヤツこそ、バカの中のバカだ!”
 1999年のセザール賞で、主演男優賞・助演男優賞・脚本賞を受賞した、フランス映画の傑作コメディ『奇人たちの晩餐会』を観る。この映画、コメディ好きの私にとってずっと見たかった作品だったんだけど、つい最近までTSUTAYAでも置いてなく、DVDでも廃盤になっていてなかなか見れなかったのだ。それがなんと去年いきなりブルーレイで発売され、今やっと見ることができた。まあすぐに観れなかったのは、このブルーレイちょっと高いんだよねえ(^^;)

 出版社の社長ピエールは、毎週水曜日に友人たちとへんてこりんな晩餐会を開いている。それは各々が必ず一人バカを連れてきて、誰が連れてきたバカが一番バカなのかを競う晩餐会だった。今回ピエールは、連れをまだ見つけることができなくて、参加を見合わせようと思っていたが、友人からとんでもないバカがいたという連絡を受け、晩餐会直前に会う約束をする。(こんなに連発しちゃっていいのだろうか・・・)

 タイトルからどんな奇人変人が晩餐会に集まって笑わせてくれるのかと思ったが、そういう映画ではない(まあ、最近ハリウッドでリメイクされた方はそういうシーンがあるらしいが)。登場する奇人は、自作のマッチ棒で作ったエッフェル塔とか橋の模型の写真を持ち歩き、電車の中で初対面の人に永遠とその模型の話をしまうピニョンという男一人だけ。あの「Mr.ビーン」のビーンほどではないが、あるおかしな男によって周りが振り回されていくという笑いのコメディ作品。バカの中のバカを選ぶって、あらすじだけ読むとフランス人の笑いのツボというのは、なんと悪趣味なことかと思ってしまうが、実際に観るとやっぱり悪趣味だった(^^;)っていうか、すれすれのところを上手いさじ加減で絶妙な笑いに変えてるという感じかな。前半はやはりあまりのバカさ加減にうんざりさせられる。無邪気なおせっかいとは、かくも迷惑なことなのか。ただこのピニョン演じるジャック・ヴィレルの顔が憎めないというか、人懐っこい可愛い目をしているので、次第に何をしても「しょうがない奴だなあ〜」なんて許しちゃってる。そして気取ってあざ笑っていた連中が、ドタバタとピニョンに振り回されている姿がなんとも哀れで可笑しくて、観ている方もブラックな気分にさせられ笑っている。誰が偉くて誰がバカなんて関係ない。みんな大して変わんないよって笑い飛ばしちゃってるところがいいんだなあ。そして最高のラストは若干唐突ではあるけど、ピニョンが意外な素顔を見せ・・・、なんだか観終わった後はとってもいい気分にさせてくれてる。そしてあんまり気分が良すぎてまたすぐ観たくなっちゃう。不思議な映画だなぁ。

P.S. 出演していることを知らなかったカトリーヌ・フロが観られて、なんだか得した気分にもなりました。