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『不思議惑星キン・ザ・ザ』
【感想】 ★★★ H18.3.4
不思議惑星キン・ザ・ザ SF映画の傑作「惑星ソラリス」を生んだ旧ソ連の、驚きのSFカルトムービー『不思議惑星キン・ザ・ザ』を観る。ジャケットの写真を見てもわかるように、87年のリオデジャネイロ国際映画祭の特別賞を受賞したとはとても思えない程の、多分しょうもないだろうオーラが大噴出している。某サイトのレビューで高い評価を受けていたので、だまされたと思って観た。

 技師のマシコフは仕事から帰宅するなり、妻にパンとマカロニの買い物を頼まれる。スーパーへやって来たマシコフに、一人の青年が声をかける。「あそこに異星人だという人が・・・」見ると街頭に汚らしい服装に裸足の男が立っていた。男は番号設定が乱れて自分の星に帰れないと言う。地球の番号さえ分かれば、瞬間移動装置で瞬時に家に帰れると、小さなおもちゃのようなものを二人に見せる。話を信じないマシコフは、なにげにその装置のスイッチを押してしまう。その瞬間マシコフと青年ゲデバンは砂漠のど真ん中に転送されてしまう・・・。

 まず書いておきたいのは、この写真の二人が主人公じゃないので、安心してほしい(笑)。ついでにジャケット裏の写真の二人も違う。ちゃんとした地球人の二人が主人公なのだ。
とにかく最初から最後まで転送された惑星キン・ザ・ザで出会うおかしな連中に振り回される、マシコフとゲデバンが気の毒やら可笑しいやら。唐突に現れる「ク〜」としか喋らないこの星の住人達のイキっぷりに、最初は戸惑ってしまうが、次第にこのキテレツな世界に引き込まれてしまう。この辺がカルトと呼ばれる所以なのか。そんな中とんでもない事態に関わらず、平静を装っていたマシコフも次第に壊れていくが、それでも人間として誇りを失わない姿がかっこいい!それに比べて最初好青年だったゲデバンは、だんだん強欲なこの星の住人に馴染んでいく。それはまるでこの星が未来の地球の姿であるかのように。

好き嫌いがはっきり分かれる映画だろうなあ。っていうか、たぶんダメな人のほうが多いと思う(笑)。最高〜!って言うほどのカルトムービーではないが、それでもこの不思議な映画に私は惹かれてしまう。よくこんなシュールな世界を創りだしたものだと感心してしまう。次から次に二人が遭遇する不条理な展開は、最後まで飽きさせない。そして最後まで観終わった人は、たぶんしばらく「ク〜」とか「キュ〜」とか言ってはまってしまってると思う。そう、それは私達ももう立派なギン・ザ・ザの住人なのだあ〜、ク〜!!^^
それからこの映画を観たすべての人に、その好奇心と勇気に拍手を送りたい、パチパチパチ