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『キング・コング』
【感想】 ★★★☆ H17.12.26
キング・コング 「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、9歳の時にオリジナルを観て以来、ずっと自らの手による映画化を夢見ていたという、まさしく映画監督を志すきっかけとなった作品『キング・コング』を劇場で観る。クリーチャーもののSF映画は結構はずすことが多いが、やっぱりあのピーター・ジャクソンが監督とあっては観るしかない。

 1933年のニューヨーク、大恐慌の真っ只中、喜劇女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)は働いていた劇場も閉鎖となり、途方に暮れていた。一方とある試写室では映画監督のカール・デナム(ジャック・ブラック)が、投資家達を前に自らの作品の売り込みに熱弁を振るっていたが、見限った投資家達は製作中止を決定する。あきらめきれないカールは撮影続行を決意し、投資家達の制止を振り切り、海図にも載っていない未踏の島へと出航する。そこには街でカールに偶然スカウトされたアンも乗船していた・・・。

 とにかく涙・涙でした(笑)。まあ3回は泣きましたね、ハハハ・・・。あまりにも知られてる本作の悲劇的なラストは、その結末が分かっているので余計にコングに感情移入してしまい、ピーター・ジャクソンの狙い通りにコングに降りかかる出来事にことごとく共感し、狙い通りに泣いちゃいました。
想像以上にリアルな動きを見せるコングの、3匹のバスタトサウルスの戦いは、あまりにもド迫力で仕舞いには笑うしかなかった。そしてなにより凄かったのはコングの目。この目はもはやクリーチャーのものではなく、完璧に生命を宿し、魂までも映し出しているような憂いを帯びた瞳は、感情移入せずにはいられなかった。

主演のナオミ・ワッツは、「マルホランド・ドライブ」以来注目してるんだけど、今回は相当大変だったでしょうねえ。走ったり跳んだり、転がってはぶら下がったりと、ピーター・ジャクソンのどS振りが垣間見える(笑)。本作で更なる飛躍を期待したいがどうだろうなあ・・・。他の出演者としてジャック・ブラックやエイドリアン・ブロディが名を連ねているんだけど、いずれもコングの名演技?の前に霞みっ放し。今回は損な役回りだったみたい。

ここまで書いといてなんなんだけど、今現在の心境はもう一回観たいかとなると、微妙なんだなあ〜。たしかにコングや原始のジャングルにニューヨークの景色と、ピーター・ジャクソンがこだわったというリアル感は確かに凄いんだけど、私にはちょっとリアル過ぎた。まず未踏の島に住む原住民の気色悪いほどのリアルさ。予告編しか観たことないが、「食人族」を思わせるドキュメンタリーっぽく襲われるシーンや、でっかい芋虫やムカデがうじゃうじゃ出てくるシーン、人もいっぱい死んじゃうし、どのシーンもリアルでえげつないのだ。ここまでやんなくてもよかったんじゃないかなあ。
そして決定的にもう一回観ようと今思えないのは、あまりにも可哀想なとこ。観賞後に良かった〜って思えない程の複雑な気持ちになってた。
まさしく阿藤快の「なんだかな〜」状態だったのだ(爆)。

それでもクリーチャーものが大好きな人をはじめ、進化し続ける特殊効果で創りあげられた素晴しい映像に感動し、そして映画を観て泣きたいという人には、オススメの作品じゃないかなあ。