サブリナの休日トップページミニシアター2/ミニシアター1/ミニシアター3

『世界でいちばん不運で幸せな私』
【感想】 ★★★☆ H17.5.9

世界でいちばん不運で幸せな私 「のる?」「のらない?」
 ヨーロッパで大ヒットを記録し、このフレーズが大流行した『世界でいちばん不運で幸せな私』を観る。TSUTAYAでミニシアター系の第3位の棚にあり、やはり世界中で大ヒットと書いてあったので思わず手にとってしまった。ただこの邦題のとおり、なんとも不思議で強烈な映画でした。


 ソフィーとジュリアンの関係は、二人がまだ幼かった頃無邪気に始めたゲームがきっかけだった。お互いに賭けあうゲームは先生に汚い言葉を使ったり、校長先生の前でお漏らしをしたりと自虐的なものばかり。それでもいつしかゲームはお互いの絆を確認しあうものになっていた。そして二人は大人になり、それぞれが家庭を持ってなお続くゲームは、もはや破滅的でさえあった。一番大切な愛を伝えられないままに二人は・・・。

 視覚的で詩的な映像は、『アメリ』のジュネや『ビッグ・フィッシュ』のバートンを彷彿とさせる。しかし本作はかなりシュールなお伽噺になっている。周りの人々の迷惑を顧みず続けられるゲームは、観ている方のストレスを掻き立てる。
しかしちょうど話の真ん中あたりで、ジュリアンがカメラ目線で見ている人達に向けてこうつぶやく。「うんざりしたんだな、ここからが肝心なんだぞ」
これ借りたの失敗だったかな・・・、なんて思ってる時にこのセリフ。映画はこちらの気持ちを見透かしたように、このセリフの後素敵な作品に変わっていく。愛深き故に大人になりきれず、子供の無垢な心と残酷さを抱えたまま傷つけあう二人。
「地獄へ堕ちろ!」「いいわよ、でも一緒に堕ちて」


観終わった後は、その無軌道な二人に不快な気分にさせられる人もいると思うけど、私は不思議と穏やかな気持ちになり、時間が経つにつれ二人の激しすぎる愛が切なく、そして深く心に染み入ってきた。
なんでこんな気持ちになるんだろうとしばらく考えてたんだけど、その答えはDVDの特典の中で話す監督の言葉にあった。
「大人になるということは、自分の感情に責任を持つこと。自分自身を受け入れること」


でもこの映画はいいよって薦めると、絶対反感を買うと思う(笑)
なんとも不思議な映画でした。

 
 ▼公式サイト:『世界でいちばん不運で幸せな私』