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『或る夜の出来事』
【感想】 ★★★★ H17.5.7
或る夜の出来事

 アカデミー賞の主要5部門を独占した傑作ラブ・コメディの『或る夜の出来事』を観た。
1934年度作品とかなり昔の映画で、ハリウッドスタジオシステム黄金期の名作ですね。


 かの『モダン・タイムス』が1938年だから、そこからさかのぼること2年、何が驚きってこんな昔にこんなお洒落なラブ・コメディが存在していたとは。昔のラブ・コメディといったら私の大好きなビリー・ワイルダー監督の作品がまず浮かんでくるのですが、それでも1950年代から1960年代の作品だから本作はホントに驚きです。それからこのジャケット写真はクラシック映画の名作としてたまに目にしたことはあったけど、このタイトルといいこの写真といいまったくラブ・コメディの雰囲気がありません(笑)いや〜まいったまいった(何がまいったんだか・・・)

 ストーリーは大富豪のわがまま娘(クローデット・コルベール)が惚れた男との結婚を父親に反対され、家出するというところから始まります。鉄道や飛行機を避け、お嬢様がまさか乗らないだろうという長距離バスに乗り込み、父親が雇った探偵たちをうまく出し抜きます。そこで偶然乗り合わせた失業中の新聞記者(クラーク・ゲーブル)は、特ダネの匂いをかぎつけ家出の手伝いをすることに。二人は初対面から意地を張り合いながらも旅を続け、やがて・・・。

主演二人の掛け合いが絶妙で、なんともユーモラスでありお洒落です。わがまま娘の生意気だった表情はやがてとっても可愛い顔に変わり、クラーク・ゲーブルの顔はまだ『風と共に去りぬ』ほど渋さはなく、正直いってサーカスの団長のようでしたが、やがてその顔もハンサムでかっこよく変わります。気分はまさにビリー・ワイルダーの映画を観てるような心地よさ。

ただラストがえらくあっさりしておりしばし唖然。昔の映画はエンドロールもありませんから、青画面をしばらく見つめていました。
しかしたまに観るクラッシック映画は、人々が無垢で善意に溢れてた時代を感じることができ、おもわずセンチメンタルな気分にさせられます。そしてそこにはややこしい設定もなく、ややこしい人物も登場せず、純粋に物語に心をゆだねている自分がいます。クラシックの有名な名作ですが、ラブ・コメ好きの私にとっては掘り出し物の一本になりました。